シャープは7月17日、介護施設における高齢者の生活機能訓練に関わる一連の業務をサポートする介護施設支援ソリューション「頭の健康管理サービス」を8月1日より提供すると発表した。
価格はオープンで、構成により異なる。例として、ゲームのみの利用、最小構成の場合はハードウェア込みで年額25万1000円弱、月額約2万1000円弱〜を見込む。
施設利用者の「アセスメント(興味・関心チェック)」から、「訓練計画作成」「日々のおすすめ訓練提示」「訓練結果の記録・管理・見える化」までをシームレスに支援するもので、日本初のサービスという。介護施設スタッフの作業量を削減し、業務効率化に貢献するとしている。
東北大学 加齢医学研究所 所長の川島隆太教授監修の「スピード勝負」など、知能機能を刺激する20の頭の体操ゲームを提供。利用者は40V型TouchディスプレイBIG PADの大画面を使い、簡単なタッチ操作でゲームを楽しみながらトレーニングできる。
高齢化社会を迎えている中でさまざまな問題があるが、2020年の全国介護施設などの不足数は180.9万人分ともいわれる。介護保険法改正による基本報酬の減少や人手不足など、介護施設を取り巻く環境は厳しい。
そうした中、シャープは実は2012年よりICTを活用した健康管理・介護予防ソリューションのフィールド実証を継続的に続けてきた。その知見をもとに開発したのが頭の健康管理サービスだ。「奈良県、神奈川県の公募事業と複数の介護施設の協力を得て、頭の健康管理サービスについて介護施設でトライアルを重ねてきた」(シャープ ビジネスソリューション事業本部 ビジュアルソリューション事業部 商品企画部 部長の村松佳浩氏)と説明した。
頭の健康管理サービスの特徴は、介護施設での生活機能訓練をシームレスに支援できるところだ。
たとえば、利用者の認知レベルに合う問題用紙の準備など、日々の訓練について事業者側の負担が大きいことを、BIG PADに表示されるチェックリストにより、利用者の興味・関心の絞り込みと目標設定を行えば、記憶力や計算力など、トレーニングすべき認知機能が自動的に抽出される。
さらに施設を利用する頻度や1日に実施するトレーニング量などの基本情報を設定すると、アセスメント結果に基づいた訓練計画が作成できるしくみを備える。
訓練結果や履歴が自動的にBIG PADおよびクラウド上に記録・管理され、集計結果をチャートやグラフで表示。レポートとしてもそのまま利用できる。
また、オプションのシステムを導入することで、利用者のICカードをカードリーダーにかざすだけで、簡単に個人認証が行える。認証により、各利用者がトレーニングすべき認知機能に応じたゲームや「おすすめレベル」が自動的に表示されるので、すぐに利用できるのも特徴の一つだ。
シャープは、介護業界における人手不足の問題と各個人に適した生活機能訓練の提供という課題に対し、頭の健康管理サービスで解決したい考えだ。今後、第一のステップとして、通所サービス5万6000箇所のうち、2800箇所での導入を目指す。
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