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2025年の万博でスーパーシティ実験へ−−大阪の狙いと課題とは

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 AIやビッグデータといった最先端技術と国家戦略特区制度などの規制緩和により、2030年頃の実現を目指す最先端都市、「スーパーシティ」構想を進める内閣府主催の国際イベント「スーパーシティ スマートシティフォーラム 2019」がグランキューブ大阪(大阪国際会議場)で6月29日に開催された。

  ここでは国内外の有識者からスマートシティの先行事例や鍵となる要素・技術を紹介するテーマ別セッション中から、G20の開催や2025年の大阪万博開催といった国際イベントが続く大阪をテーマにしたプログラム「大阪の考えるスーパーシティ」の内容を紹介する。

街と融合する令和のスーパーシティを目指すべき

 最初にモデレーターを務める大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏から、大阪がスーパーシティを活用して解決すべき課題や対応策の例などが紹介された。項目としては健康維持や疾病予防、AIを活用した介護、ストレスフリーな公共交通、使いやすい金融システムなどを挙げ、それらを先行実験する場の一つとして2025年開催の大阪万博を提案している。たとえば誘致プレゼンで提案した「10歳若返るパビリオン」1つをとっても、健康チェック、食品、アンチエイジング、eスポーツなどさまざまな分野の連携が考えられる。ほかにも会場内で使えるエキスポ・トークンをキャッシュレスだけでなく、会場の混雑緩和に協力するとポイントが得られ、1年間にわたって使えるようにするなど、新しいアイデアを実際に試せるとしている。

モデレーターを務める大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏
モデレーターを務める大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏
大阪万博をスーパーシティの実験の場として利用するアイデアが提案されている
大阪万博をスーパーシティの実験の場として利用するアイデアが提案されている

 フューチャーの住田智子氏は、外務省の出向で2年間デンマークで働いた経験から現地のスーパーシティへの取り組みについて紹介した。人口550万人の国は、ITC技術の利用と普及が日本より先行している。その背景として国の経済危機があり、600種類以上の行政サービスで70%をオンライン化し、削減できたコストを必要なジャンルに再投資している。さらにそれらを実現するため、明瞭な目的を掲げて効果や金額も明確にし、市民がアイデアの提案や実現に自ら参加し、あわせてITリテラシーを改善する活動も行っている。

 事例として、行政と国民のやりとりを電子的に行う「デジタルポスト」への移行を紹介。コストが11.7ユーロから4.2ユーロに下がり、90%以上が実施できることを明示したうえで、3年の猶予期間を設けて義務化させ、介護費用の再投資につなげている。リテラシー向上を目標としたエリートプログラムでは、学校のIT関連での困りごとをサポートするITスペシャリスト「elITe(エリート)」グループを結成し、学生同士での解決を促すなど、「市民の課題に自身が参加できる仕組みができている」ことが紹介された。

フューチャーの住田智子氏はデンマークのスーパーシティへの取り組みを紹介
フューチャーの住田智子氏はデンマークのスーパーシティへの取り組みを紹介
デンマークでは少人数で行政レベルを維持するという明確な目的でITC活用が進められている
デンマークでは少人数で行政レベルを維持するという明確な目的でITC活用が進められている

 フォーラムに参加するスピーカーでは最年少の大学生で、人工知能研究会AIRの代表を務める大阪大学の佐久間洋司氏は、「スーパーシティに向けては若い人たちの意見を取り入れなければ、実現する頃には時代遅れのアイデアばかりになり、将来につながらないのでは」という率直な意見を会場に投げ掛けた。万博の目玉としているVRにしても、現在の技術は2025年には陳腐化し、活用するデータもバイアスがないように収集する必要があり、街と融合する令和のスーパーシティを目指していくべきだという。

”半年間の突貫博物館”で終わらせないために必要なこと

 後半のパネルディスカッションでも佐久間氏は、「若い世代は健康には価値を感じず、それ以外のインセンティブが必要」とコメント。そこに先端技術を応用するとすれば、脳の情報とその他の生体情報の関連を可視化して新たな価値を見出したり、VRにしても環境の中に普通にあって遊べるものがいいのではないかと提案した。

大阪大学の学生で人工知能研究会AIRの代表などを務める佐久間洋司氏は若い世代から意見を述べた
大阪大学の学生で人工知能研究会AIRの代表などを務める佐久間洋司氏は若い世代から意見を述べた
大阪万博のVRが時代遅れにならないようにするための意見が提案された
大阪万博のVRが時代遅れにならないようにするための意見が提案された

 それに対し森下教授も「普通は個人の生体情報は取られたくないので何らかのトレードオフが必要であり、万博ではそこが課題」と話す。住田氏からはデンマークの事例として、国が個人の資産情報を管理する代わりに、納税額を明確にして手続きも不要にし、還付も早く行うという具体的なインセンティブを実現させていることを紹介。介護のあり方にしても日本はサポート中心だが、デンマークは自立を支援するやり方で、「今後の長寿社会ではそうした考え方も必要で、そこにAIやロボットを介在させると上手くいくかもしれない」と提案した。

 いずれにしても今のままでは、万博は若者から”半年間の突貫博物館”としてしか見られず、来場するのは意識高い系だけではないか、と辛口で意見する佐久間氏は、「国内外からわざわざ参加したくなるような場にするにはエンターテインメント性が不可欠」とコメント。「サブカルやゲームの最新作をそこだけで体験できるようにすれば、オンライン課金でも収益があげられ、1億人の来場者を集めることも不可能ではないかもしれない」と提案した。

 住田氏は、「まさしくこうした率直な意見交換がオープンにできる場が必要であり、若い人たちを中心に大阪を盛り上げたいと思えるよう、世界からも関心を高める取り組みができればいいのではないか」とコメント。森下教授は「そうした場をすでに準備しており、大阪でスーパーシティを実現するための議論をもっと重ねていきたい」と話し、パネルディスカッションを締めくくった。

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