現状は明確な違いはありません。もともとは我々も、リアル店舗で売れる製品とMakuake(オンライン)で売れる製品は違うのでは、と考えてリアル店舗を始めたんです。
その結果、確かにMakuakeでの人気を超えて店舗でより売れた製品もありましたが、そもそも実行者さんは売れ筋製品を販売していることもあり、リアルとオンラインという文脈において、今のところ大きな傾向の違いは感じませんね。
ーー現状は、実店舗で売られていた商品がオンラインでも販売されるようになる流れが一般的かと思います。クラウドファンディング発の製品における流通の可能性をどう考えていますか。
流通が多様化する中で、マクアケに寄せられる声も含めて「店頭で買いたい」製品はありますよね。たとえば、メーカーが自社サイトで販売する場合、広告などの認知度アップに取り組まなければなりません。その意味でリアルの流通展開は、引き続き重要視されると思っています。
あくまでもMakuakeはスタートなんです。仮に実行者さんが多くの支援者を集めて良いスタートを切ったとしましょう。その製品が周知されるように支援するためには、周知・販売に長けたプロに任せるのが正しいと思うんです。繰り返しになりますが、我々の仲介者という立場も、新しい販売方法の形ではないでしょうか。流通販路さんからも「Makuake発だから買ってみよう」という期待をいただいています。
特に地方などでは、流通展開が難しい製品は少なくありません。量産による在庫負担や、有名な流通販路との提携も難しいケースがあります。このような課題を目にすると、世の中には“流通しなかったモノ”の方が多いのではないかと感じます。つまり、「良い製品でもお蔵入りされている」のが現状です。そこでMakuakeが製品を蔵から取り出し、売れるかもしれない状態に押し上げ、流通販路が扱えば、10個に1つは必ず売れるでしょう。今後も「発掘してつなげる」ことに注力したいと思います。
ーーリアル店舗の今後の展望は。収益面についての考えも聞かせてください。
10店舗中7店舗が2019年上半期に開設した店舗ですから、今は売り場を整えて、実績を積み重ねることが先決です。次の段階として、展開を広げていく可能性はあります。先ほど座組みのお話をしましたが、まったく同じ内容のリアル店舗を増やすことは、ブランド価値の低下につながりかねません。
たとえば、新宿に何店舗も同じショップがあるような状況は望んでおらず、「ここに行ったらMakuake発の製品に触れられる」という楽しさを演出したいんです。そのような意味を込めて、急速に店舗数を増やすことは考えていません。増やす場合は地方のエリアごとに追加していきます。また、リアルな場のコミュニティ作りにも注力していきます。
もちろん事業ですから収益化も考えていますが、そこをゴールには定めていません。やはりチャンスを得られるし、事後サポートも手厚いからMakuakeを使うと思っていただきたいという意図があります。繰り返しになりますが、リアル店舗の出店理由は実行者の事業成長支援です。リアル店舗で売れた実績があれば、Makuake上のマーケティング効果が社会的認知度につながると考えています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」