Amazonのロボット工学担当バイスプレジデントのBrad Porter氏は、次のように述べている。「われわれは人々の職を奪うということについて、それほど心配していない。われわれが解決しようとしているのは、『働く人間の数が多すぎるだろうか』という問題ではない。当社は成長しており、より多くの人々を雇う必要がある」
Creative StrategiesアナリストのMilanesi氏は、Amazonの幹部陣がカンファレンスでAIに関して、利点だけでなく多くの潜在的問題についても言及する努力を見せたと指摘する。
「対処しなければならない、それも適切に対処しなければならない複雑な問題が存在すると彼らが認めていることは、極めて重要な最初のステップだ」(Milanesi氏)
re:MARSの開催場所、アリアリゾート&カジノで大勢の来場者が見つめる壇上に登場したAmazon Go担当バイスプレジデントのDilip Kumar氏は、AmazonのAIを搭載した多数のカメラがAmazon Goの店舗で何を見ているのかを映した俯瞰的な動画を披露した。
これらのコンビニエンスストアでは、顧客は回転式ドアでチェックインして、欲しいものを手に取って、退店するだけでいい。レジに立ち寄る必要はない。カメラは、店舗のフロアで小刻みに動き回ったり、群がったりする多数の泡(1つの泡が1人の買い物客を表す)を認識する。
AmazonはAIソフトウェアを利用して、この情報を理解し、顧客が店外に持ち出した商品についてのみ代金が請求されるようにしている。
Kumar氏が講演後にアリアリゾート&カジノの会議室で筆者に話してくれたところによると、Amazon Goストアのソフトウェアは、大量の動画を取り込み、発生し得るあらゆる潜在的状況について訓練されるという。システムの弱点を特定したエンジニアは、実際の人間が店内で特定の行動を取る様子(例えば、2人の買い物客が同じ製品を同時につかむなど)を撮影し、それらの映像を使ってAIを改善した。Kumar氏のチームは、コンピューターが生成した店舗と顧客の映像もAIの強化に使用している。
顧客がどの商品を手に取ったのかを把握することも、複雑な問題だった。ポテトチップスは袋がくしゃくしゃになって、ラベルが見えにくくなることがよくある。同じブランドのコーヒーが同じようなデザインのパッケージを採用していることもある。さらに、新商品が常に追加され、既存の商品もパッケージが刷新される。その上、何十人もの客があちこち移動しながら、商品を手に取ったり、動かしたりしている。Amazon Goカメラの視界が遮られることもある。
Kumar氏によると、同氏のチームは製品を区別するのに役立つ特徴をAIに教えたが、うまくいかなかったという。例えば、ラベルを確認して、ラズベリージャムとイチゴジャムを区別するよう機械に指示しても、すぐに失敗する。
そこで、Kumar氏のチームは、どのような特徴に注意すべきかを機械自体が理解するディープラーニングアルゴリズムを使用した。これはうまくいった。
Amazon Goストアには何台ものカメラが設置されているが、Amazonによって保管されるのは、その映像のごく一部だとKumar氏は述べている。
ロボット工学担当幹部のPorter氏は、Amazonの倉庫ロボットに「目」を与える仕事に懸命に取り組んでいる。
オレンジ色のパワーアップした「Roomba」のように見える倉庫ロボットは、Amazonのフルフィルメントセンターで、黄色の細型のコンテナーに積まれた商品を受け取って、人間のスタッフに届ける仕事を担当する。Amazonはすでに20万台のロボットを使用している。これまで、これらのロボットは倉庫の床に貼られたバーコードを読み取ることで、どう移動すべきかを判断していた。単純なシステムだが、檻のような構造になっている環境では効果的に機能する。そうした環境では、人間が足を踏み入れてロボットに弾き飛ばされる心配がない。
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