しかし、Amazonは2019年に入って、自動運転を手がけるCanvas Technologyを買収した後、高度なコンピュータービジョンを備えた新しい倉庫ロボットの開発に成功した。これらの新しい「目」のおかげで、ロボットが倉庫内のより多くのエリアで、初めてAmazonの作業者と一緒に働くことができるようになる。
Porter氏によると、これらのロボットは、空の荷物を搬出口まで運ぶ、荷物を仕分けする、ゴミを出す、といった単調な作業を行うという。これにより、作業者は配達する荷物の梱包などのもっと重要な仕事に集中できるようになり、顧客から注文を受けた商品の配達時間の短縮に貢献できるはずだ。
より多くのロボットの導入やレジなし店舗の拡大は、雇用削減について懸念を提起する組合や権利擁護団体の激しい批判にさらされている。
だが、Porter氏は、Amazonは成長を続けており、顧客からの需要も増え続けているため、雇用される人数は減るどころか増えていると語った。
Kumar氏は、Amazon Goストアでは、客の質問に答えたり、棚の商品を補充したりするのに、今後も人間の店員が必要になると思うと述べている。
Alexa Shoppingを統括するMoore氏によると、同氏のグループの目標は、ユーザーがAmazonの音声アシスタントを通して、欲しいものを何でも購入できるようにすることだという。しかし、世界中で約5億種類もの商品を扱っているので(そのうち4億種類の商品はAmazonが販売している)、AIに学習させるために前もって記録するには商品が多すぎる。
その代わりに、Amazonはユーザーのウェブサイト上の購入履歴とAlexaとの過去の会話を使用して、ユーザーの求めているものがL'Occitaneのハンドクリームなのか、Michael Caine主演の映画なのかを判断する。
Moore氏によると、Amazonには、Alexa Shoppingを使用して、ユーザーが「あまり検討せずに購入する商品」(再注文やスーパーマーケットで買い忘れた商品など)を迅速に注文できるように支援する機能の計画があるという。それはAmazonにとって巨額の利益を生む機会になるかもしれないが、音声アシスタントはまだ開発途中の段階にあるため、これまでのところ、音声を使った買い物は一般の人々に浸透していない、とAdobe Digital InsightsのリードアナリストのVivek Pandya氏は語っている。
「音声に将来性があるのは、利便性が高いからだ。それが便利なら、人々はもっと頻繁に利用するようになるだろう」(Pandya氏)
Alexaのエンジニアは、将来的に同音声アシスタントがもっと先を見越してユーザーに働きかけるようにさせる予定で、買い物のパターンを認識したAlexaがユーザーに再注文を提案できるようにする計画もある、とMoore氏は述べている。
先を見越してユーザーに働きかける音声アシスタント、「目」のあるロボット、何台ものカメラが設置されたスマートストアという考えに少し不安を感じる人もいるかもしれないが、これら3つのアイデアはすべて、AmazonがAIの能力を高めるにしたがって、いっそう精度が高まる可能性が高い。
しかし、たとえこれらのテクノロジーは雇用を犠牲にすることなく利便性を向上させるということをAmazonが人々に納得させたとしても、予測の精度を高めた同社のAIは、人間からの入力を減らしつつ必要なものを理解し、正しい方向に進んでいくという難題に取り組んでいかなければならない。
Alexaエクスペリエンスおよび「Echo」デバイス担当バイスプレジデントのToni Reid氏は、こう語った。「正確に判断できる頻度を高めなければ、顧客を苛立たせて終わってしまう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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