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“広告界のイチロー”が凱旋帰国--レイ・イナモト氏が考える日本復活のシナリオ - (page 3)

松本恒太朗 山川晶之 (編集部)2019年07月11日 09時00分
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 感情と意思決定には密接な関わりがあります。人間は、理論や理由など物事を積み重ねて意思決定しますが、ある大きな企業を数十億円で買収しようとしている場合でも、最後は感情が決め手になるケースもあります。世の中を動かすには、感情を踏まえないといけませんが、使い方を間違えると「テクノロジーの悪用」につながってしまいます。テクノロジーで世の中を良くするというシリコンバレーの企業は数多くありますが、そこがしっかり踏まえきれていない企業も多いのです。

ーーでは、どうすれば良いでしょうか。

イナモト氏 3年前に会社を立ち上げて、自身の大切にしたいことを言葉に起こし、会社の理念を7個にまとめました。その中の一つが、「Magic > Logic(マジックのほうがロジックよりも大事)」ということです。ロジックは大切で積み上げていかないといけませんが、最終的に世の中を動かすのはマジックの方なのです。

ーーマジックとは具体的に何でしょうか。

高宮氏 「人々の想像を超えるもの」ですが、楽しく豊かな体験を伴うかが大事だと考えています。

 UNIQLO IQでは、話しかけるときの絵文字で返答率が変わったり、丁寧な言葉の疑問形で返すよりもカジュアルに絵文字で返すことで親近感が湧くといったことが結果としてデータで返ってきます。5Gの登場や位置情報の活用で、より通信しやすくなり、より人やモノを特定しやすくなります。これを踏まえて、どういう体験が作れるかを意識しています。

 ちなみに、「5Gという技術を体感することに重きを置くようなもの」といった技術視点のものは作りません。技術は常にアップデートされすぐに古くなってしまうので、サービス設計をする場合は、3〜5年先を見据えなければいけないと思っています。UNIQLO IQも同じ(3〜5年後のカスタマーサポートの姿)アプローチです。

 ちなみに、先程のテクノロジーの悪用だと、リターゲティングもその一つだと思っています。もっと有益な形がきっとあるはずで、そうではないテクノロジーの使い方を目指したいところです。

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ーー未来、例えば5年後はどうなっているのでしょうか。

イナモト氏 不確実ですが、「新しいことが可能になるということは、何かが無くなるということ」と言えます。単純な例でいうと、モバイルが実現したのは、コンセントにつながなくてもスクリーンのあるデバイスが持ち運べるようになったからです。通信も、ワイヤレスになったから、ケーブルを繋がなくてもデータが送れます。ワイヤーが無くなったことが価値になります。

 同じく、キーボードなどインプットする仕組みも音声に変わるでしょう。さらには、言葉で言わなくとも頭で考えただけで入力できるようになる可能性もあります。ワイヤレス充電も(IoT機器レベルであれば)5‐10年で実用化されるでしょう。余計なものを取り除くことで新しい世界が生まれるのです。

目指すは「東京発、21世紀のバウハウス」

ーーI&CO Tokyoは今後どのような姿を目指すのか教えてください。

イナモト氏 会社の形としてのインスピレーションを受けたのは、スペインの実験レストラン「エルブリ」です。20年も世界のトップとして、世の中の料理を引っ張っていくのを見て、すごいなと。彼らは、1年間のうち6カ月でレストランを経営し、もう6カ月はキッチンをラボとして実験を行い、そこで生み出した料理テクニックで次の料理を提案しているのです。

 6か月もレストランを閉めると普通は経営的に大変ですが、面白いと思ったのは、ラボとして実験する過程やプロセスをコンテンツに変えてIPとして商売にしている点です。サービスとしての商売と、新しいことを売る商売を両立しています。クライアントに新しい考え方を提供するほかに、自分たちでもインキュベーションするというエルブリの考え方が価値観になっています。

 正直、会社の規模は全く意識しておらず、人数が多ければ影響力が大きいという考え方はしていません。少数精鋭でより大きな影響力を与えられる会社になりたい、エルブリ以外の形容詞で言うと「21世紀のバウハウス」でしょうか。

高宮氏 これまでI&COで携わってきた「TOYOTA NEXT」や「UNIQLO IQ」からの繋がりとして、新しい展開を考えています。すべてのプロジェクトに継続性、連続性があるので、楽しみにしてほしいです。

 調査からプロトタイプ制作までを一貫して進められるのが、我々の強みです。経営層に入り込みながら、ビジョンからユーザー体験まで一貫して作り上げています。さまざまな発表が2019年末から2020年にかけてできると思います。

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