日本マイクロソフトは6月24日、Empowered JAPAN実行委員会と連携し、全国の個人と企業が持つ可能性を拡げるためのプロジェクト「Empowered JAPAN」を開始すると発表した。
このプロジェクトでは、AI時代に必要となるITスキル習得やインターン体験など、教育プログラムの無償提供や、地方におけるシェアオフィスやサテライトオフィスの活用、デバイスやツール提供など、テレワーク環境の整備から構成される。テレワークと学び直しによって、職を求める個人がITスキルを習得するとともに、採用したい企業とをつなぐものとしている。
直近では、テレワーク・デイズ2019(7月22日から9月6日)に合わせ、全国の企業および対象地域で求職中の女性向けに教育プログラムの提供を開始。今後、若者や高齢者、障がい者などへ対象を拡大。より多くの地域へプログラムを展開し、開始2年間で100社100名の参加、3年目には自走可能なモデルを確立し、全国展開を目指すとしている。
実証プロジェクト実施地域は「北海道札幌市」「山形県酒田市」「千葉県流山市」「埼玉県吉川市」「愛知県岡崎市」「佐賀県佐賀市」「佐賀県有田町」の7地域。対象は求職中の女性で、各地域10名程度。期間は、個人が約3週間、企業が約1.5週間程度。教育プログラムは、「マインドセットの習得」「ITスキルの習得」「テレワークスキルの習得」「テレワークインターン」による、4つのステップで構成されている。
個人や企業がAIを使いこなせるような人材育成の実証も行う。日本マイクロソフト側では、全国の自治体やパートナーと連携して、個人と企業の双方に対する教育プログラムの実証プロジェクトを展開。Empowered JAPAN実行委員会は、日本マイクロソフトと連携して佐賀県佐賀市と愛知県岡崎市で説明会を開催する。
また、実証プロジェクトにおいては、NECパーソナルコンピュータ、エプソンダイレクト、サードウェーブ、Dynabook、デル、日本エイサー、日本HP、VAIO、パナソニック、富士通、レノボ・ジャパン、日本マイクロソフトの12社がデバイス協賛という形でサポートする。
同日行われた記者会見では、日本マイクロソフト 執行役員 政策渉外・法務本部長 アリス グラハム氏や、同執行役員 常務 コンシューマー&デバイス事業本部長 檜山太郎氏らが登壇。グラハム氏は日本において人口が大都市圏に集中していることや、働く女性が出産にともなって退職している状況があることを指摘。同社の調べによれば、就労意欲があるのにもかかわらず、男性107万人、女性262万人がなんらかの事情で働くことができていないという。一方、約7割の中小企業が人材不足で採用に悩んでいる状況があることも挙げた。
日本マイクロソフトも自社で働き方改革をし、生産性の向上に大きな影響があったことから、他の企業でもそのノウハウを展開すれば貢献できるのではないかと語り、さらには、働く意思のある個人と人材を求める企業との間にあるギャップを、この取り組みで埋めていきたいとした。
檜山氏は教育プログラムに関する説明のなかでは、最初のステップにあたるマインドセットの習得を重要視しているうえ、特に企業の上司にあたる存在に変革が必要だと説く。いわゆる日本的な企業における仕事の進め方では、今のデジタル化の世界における協同しながら進めていく流れに歯止めをかけるとして、仕事のやり方やカルチャーを変えてなければいけないと指摘。「担当者だけでなく、一番変わるべきは上司。仕事のやり方の変化を受け入れて、自分自身をそれにあったマネジメントの仕方をやっていかない限りは実現しない」と、個人だけではなく企業向けにも教育プログラムを行う意義を語った。
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