Appleは、米通商代表部(USTR)が中国からの輸入品に追加関税を課す場合、Appleの競争力が損なわれ、米経済への同社の貢献度が低下すると訴えている。同社は米政府に対し、「iPhone」をはじめとする製品に影響を与える新たな関税を賦課する計画を進めないよう要請した。
AppleがUSTRのRobert Lighthizer代表に宛てた米国時間6月17日付けの書簡が、20日に公開された。この書簡の中でAppleは、関税が発動されれば、主要製品(「iPhone」「iPad」「Mac」「AirPods」「Apple TV」)のほか、モニターや製品の修理に使われるバッテリー、部品などのアクセサリーに影響し、「米経済へのAppleの貢献度が低下する」と述べている。
またAppleは、関税によって同社の競争力が損なわれ、「当社と世界で競合する企業が有利になる」と述べた。
Appleは書簡の中で、「世界の市場で当社と競合する中国メーカーは、米国市場では大きな存在感がないため、米国の関税の影響を受けない」とし、「米国以外の他の主要な競合企業も同様だ」と説明している。
Appleは競合企業を具体的には挙げていないが、書簡では、中国を拠点とする華為技術(ファーウェイ)や、サムスンなどの競合企業を念頭に置いているようだ。米国の禁輸措置を受けているファーウェイは、1年前にAppleを抜いて世界第2位のスマートフォンベンダーになっている。
Appleは米国内で端末を設計しているが、組み立ては中国で行っている。Apple製品の一部はこれまで追加関税の対象外だったが、中国との貿易戦争はますますエスカレートしており、Appleが販売するさまざまな製品が関税の対象となる可能性もある。そうなれば、価格が引き上げられ、Appleが製品の販売で得る収益に影響が生じる恐れもある。
USTRは20日、意見公募期間中に提出された具体的な提案についてはコメントしないと述べた。米CNETはAppleにコメントを求めたが回答は得られていない。
Appleは書簡の中で、米経済で同社が果たしている大きな役割について触れた。同社は、従業員、製造および小売パートナーのほか、 iPhoneやiPad向けのソフトウェア開発で利益を得るアプリ開発者など、全米50州で200万を超える雇用に対して「責任を負っている」とした。
2018年にAppleは、新キャンパスの建設や新規雇用によって、米経済に5年間で3500億ドル(約38兆円)寄与する見通しだと述べていた。
Trump米大統領は以前から、Appleに米国内で製品を製造するよう求めてきた。19日には、AppleがiPhone製造の30%を中国から東南アジアなどの地域に移すことを検討していると報じられた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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