Facebookが2020年に新たな仮想通貨を開始する計画に、早くも米連邦議会から異を唱える声が上がっている。下院の金融サービス委員会で委員長を務めるMaxine Waters議員は米国時間6月18日、Facebookに対し、同社が終わりがないように思えるほど次から次へと問題を引き起こしていることを理由に、この新デジタル通貨「Libra」の開発計画を一時中止するよう求めた。
「仮想通貨を創設する計画を発表したことで、Facebookは野放図に拡大を続け、ユーザーの生活にまでその影響力を及ぼそうとしている」と、Waters議員は声明の中で懸念を表明した。
「現在の仮想通貨のマーケットには、投資家、消費者、そして経済を強力に保護する、明確な規制の枠組みが欠けている。規制当局は本件を、仮想通貨によって提起されるプライバシーおよび国家安全保障に関する懸念、サイバーセキュリティのリスク、通商のリスクに本気で取り組むための警鐘と見るべきだ」と、同議員は述べた。
同議員の声明は、FacebookがLibraの立ち上げに向けた計画を進める際に直面する可能性がある、規制のハードルの一部を示すものでもある。
Waters議員は、Facebookについて、「こうしたデータの保護や使用の際の留意点を軽視する態度を繰り返し見せてきた」と指摘している。Facebookのプライバシー慣行をめぐる米連邦取引委員会(FTC)の調査が継続しており、同社は最大50億ドル(約5400億円)の制裁金を科される可能性がある。2018年、政治コンサルティング会社Cambridge Analyticaが、Facebookユーザーの個人情報8700万人分を不正に入手していたことが発覚している。
Waters議員は議会と規制当局が今回の声明で指摘した問題を調査するまで、FacebookがLibraプロジェクトを一時中止するよう求めている。
米下院の金融サービス委員会で共和党側のトップを務めるPatrick McHenry議員は、Facebookと同社の仮想通貨プロジェクトに関する公聴会の開催を要求した。Waters議員も声明の中で、Facebookの幹部は同委員会に対して証言するべきだと述べている。
また、上院の銀行・住宅・都市問題委員会では、「Facebookが提案しているデジタル通貨とデータプライバシーへの配慮を検証する」という表題の公聴会を、7月16日に予定している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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