「この技術を全面的に一時禁止することが答えになるとは思えない。われわれには守るべき故国があるし、顔認識技術には一定の価値があるからだ」。米国運輸保安庁で保安主任を務めたこともあるAlexander氏は、米国時間5月22日の証言でこう語った。
法執行機関当局には顔認識技術の支持者が多いものの、同技術の問題が多いことから、一時的な禁止を求める声も強くなっている。各州は、議会が連邦政府の規制案を通すことを待とうとはせず、議員の多くは自ら積極的に動こうとしている。
地方自治体レベルの取り組みの多くは、サンフランシスコ市の条例の条文にならおうとしている。この条例は、ACLUのCommunity Control Over Police Surveillance(CCOPS)モデル法案に類似しており、ACLU北カリフォルニア支部の弁護士Cagle氏によると、他の都市でも応用できるという。
もちろん、選ばれた議員の支持がなければ、法律も条令も可決されない。したがって、ACLUは、各都市で監視の規制を求めるにはどうすればいいかを地域社会に説明する一連の手順にも取り組んでいる。地方議会の優先事項や問題点がそれぞれ違う以上、取り組み方は地域によって異なってくるだろう、とCagle氏は指摘する。
サンフランシスコ市の禁止条例は、他の都市で顔認識技術の一時禁止を可決させようとする試みにとっては、待望の推進剤になったと、ITの適切な利用を推進する非営利団体Fight For The Futureの活動家Jelani Drew氏は語っている。同団体は、各市で顔認識技術の禁止を求めて議会に働きかけるよう、市民に呼びかけているところだ。
Drew氏によると、同団体の取り組みは、サンフランシスコでの条例可決以降、勢いがついているという。
「サンフランシスコ市の例を土台にして、人々が、行動を起こせば実現されるのだと信じ、活発になってくれることを心から期待している。次は、さらに多くの人が議会に迫り、地域社会に働きかけるおよその道筋をつかむ段階だ」(Drew氏)
「地域社会の取り組みは、顔認識技術の禁止が可決されるための重要な要素だ」と、Cagle氏も強調する。
Fight for the Futureは、権利擁護団体Color of Change、電子フロンティア財団、報道の自由財団といったグループとともに、サンフランシスコ市でのACLUの協力団体として市の職員と協力し、条例案の可決に向けて取り組んだ。その取り組みの一環として、代表者と話し合い、地域の会合に参加して、電話などで支持を取り付けたのだという。
「地域社会の支持があること、そしてその地域社会の人々が何かをしたいと思っていることが、絶対に必要だ。地域社会全体で幅広く協力し、そうした人々が会合や電話で取り組みに参加してくれていなければ、サンフランシスコでも可決には至らなかっただろう」(Cagle氏)
Fight for the Futureは全国の活動家と協力して、顔認識技術が市民のプライバシーにどんな影響を及ぼすかという話を広めようとしている、とDrew氏は話している。だが、それは簡単なことではない。法案が出されても、地域の立法レベルでは棚上げされてしまうことも多く、勢いはいつまでも続くわけではないからだ。
サンフランシスコ市では、ACLUの戦略上、選出議員に働きかけ、地元の支持層を見いだしたうえで、議会と協力して草案を作る必要があった。だが、最大の要因は、粘り強さだった。ACLUは、条例案が可決されるまで1年以上も議員らと協力してきた、とCagle氏は話している。
「不屈が鍵になる。必要なのは、時間と不屈の精神だ」(Cagle氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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