KDDIは5月13日、新商品・サービスの発表会「au発表会 2019 Summer」を開催。その中で「新auピタットプラン」など3つの新料金プランを打ち出すとともに、導入の狙いについて説明した。
KDDIの取締役執行役員専務 コンシューマ事業本部長である東海林崇氏は、auのこれまでの取り組みを振り返るとともに、新しいスマートフォンと携帯電話、合わせて9機種のラインアップを発表。ソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia X1」や、サムスン電子製の「Galaxy S10+」などエンタテインメントを楽しみやすいハイエンドモデルから、京セラ製の「TORQUE G04」など個々のセグメントに応じたモデル、そしてコストパフォーマンスに優れたモデルを紹介した。
中でもコストパフォーマンスモデルに関して、東海林氏は「これから分離プランの時代になってくる。端末が通信量が安いだけでなく、端末がもっと安い方がいいという人が増えるのでは」と話し、ファーウェイ製の「P30 lite Premium」のほか、新たにサムスン電子製のミドルクラスのモデル「Galaxy A30」を揃え、低価格のラインアップを厚くしていることをアピールした。
続いて東海林氏は、3つの新料金プランを発表した。1つ目は、2017年より導入されている「auピタットプラン」と同じ、分離プランかつ段階制を採用した「新auピタットプラン」。月当たりの通信量が1GBまでの場合月額2980円、7GBまでの場合月額5980円で利用できる。
東海林氏はさらに、家族契約での割引を強化するべく、対象プランに加入する家族が2人の場合月額500円、3人以上の場合1000円の値引きが受けられる「家族割プラス」の提供を発表した。対象となるのは同一住所の家族に限られるが、シニア層のスマートフォン利用を拡大するため、「auひかり」など対象の固定通信サービスに加入している場合は、50歳以上の別住所の家族も対象にできる仕組みを用意するとしている。
そして、新auピタットプランに家族割プラスを適用することで、最大で月額1000円の値引きが受けられることから、月額1980円からの利用が可能になるという。東海林氏はこのプランに関して「今まで(auピタットプラン)は1年目だけ、キャンペーンにより月額1980円で利用できたが、(新auピタットプランは)2年目以降も月額1980円で利用いただける」と説明し、2年目以降も安い料金で利用したいという声に応えるべく提供したものになるという。
2つ目は「auフラットプラン7プラス」。これは月当たり7GBまでのデータ通信量が利用でき、それを超過した場合も300kbpsでのデータ通信が可能なプラン。2019年秋以降には、「+メッセージ」「Facebook」「Instagram」「Twitter」といったSNSを利用した時は通信容量を消費しない、ゼロレーティングの仕組みも導入されるという。こちらは月額5480円で、家族割プラスと「auスマートバリュー」の適用により、月額3480円での利用が可能になる。
このプランを導入した理由について、東海林氏はauの利用者のうち、「通信量が1〜7GB未満の顧客が45%いる」と説明。1GBでは物足りないが、7GBもあれば十分という中容量の顧客ニーズに応えるために提供したものになるという。
また、ゼロレーティングの対象は「極めてオープン」としており、対象となるSNSは今後拡大していくとのこと。「とてもオープンなスタンスで、どの事業者とも要望があれば相談する」と東海林氏は話す。一方で、ゼロレーティングで議論になっているネットワーク中立性に関しては、「これから解釈が出ると思っている。それを見てから色々な対応をしていきたい」と話しており、行政での議論を見守る考えを示した。
そして3つ目の新料金プランは「auデータMAXプラン」。これは月当たりの通信量に上限がない料金プランで、月額8980円での利用が可能というもの。ただしテザリングとデータシェア、国際ローミング通信の利用は月当たり20GBまでとなるほか、一定期間内に大容量通信をした利用者は、混雑時の通信速度を制限することがあるという。
東海林氏によると、こちらのプランは「5G時代に様々なサービスが広がるので、一歩進んだ料金を提供したいと考えた」とのことで、5Gの導入を見越した料金となるようだ。ちなみに「auスマートバリュー」と家族割プラスの適用で最大2000円の値引きとなり月額6980円、さらに9月30日まで提供される「auデータMAXプラン スタートキャンペーン」の適用により、6か月間はさらに1000円の値引きが受けられ、月額5980円で利用できるとしている。
なお、新auピタットプランとauフラットプラン7プラスは6月1日から受付を開始するが、auデータMAXプランは「システム対応の都合」(東海林氏)により、2019年夏の提供になるとのこと。また値下げによる業績の影響は、「今回の新料金を含めた顧客還元の規模は、2022年3月期で4000円規模と考えている。今期に関しては大きな業績へのインパクトはない」と、織り込み済みとの認識を示した。
なお、KDDIは分離プラン導入時に、高額なスマートフォンを購入しやすくするため、4年間の割賦で端末を購入し、2年後の機種変更時に残債を不要にする「アップグレードプログラムEX」を導入しているが、行政からその仕組みが「4年縛り」と指摘され、改善が求められている。今回の発表でその改善策に関する言及はなかったが、その理由について東海林氏は「アップグレードプログラムEXは非常に好評をいただいている。これから電気通信事業法の改正などがあるので、それらを見た上で考えていきたい」と回答。法改正されるまでは現在の仕組みを継続する考えを示した。
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