毎年秋にドイツのメッセ・ベルリンで開催される国際コンシューマエレクトロニクス展「IFA(イーファ)」は、CESよりも歴史の古いデジタル系イベントで、アインシュタインがオープニングスピーチをしたことでも知られている。
時代にあわせてプログラムをリニューアルし、2017年には最先端のイノベーションが集まる「IFA NEXT」を新設。世界各国のスタートアップや大学、研究開発機関、AmazonやGoogleなどの企業が出展している。
さらなるグローバル化のため、IFA NEXTでは2019年からパートナー国を設け、最初のパートナー国に日本が選ばれたことが、IFAが主催する「Global Press Conference 2019」(以下、GPC)で発表された。会場では経済産業省商務情報政策局長の西山圭太氏が登壇し、「家電市場や展示会の運営は変革期にあり、日本も新しい動きが求められている。パートナー国に選ばれたのをきっかけに国内外の固定概念を変え、世界への訴求力を高めたい」と述べた。
西山氏はプレゼンで、日本のこだわりを寿司職人に例えるなどユーモアを交えて紹介し、ハードウェアだけでなくAIやケアサービスでも世界から注目される存在になることを目指すとした。また、IFAで毎年大規模な展示をしているパナソニックがSociety 5.0をテーマに出展コンセプトを紹介したことに加え、日本と欧州で ”ピアボーナス” というユニークな成果給制度を展開するスタートアップのUniposが登壇し、パートナー国としての存在感をアピールした。
IFAはCEATECやCESと同様に、企業ブースや製品展示、カンファレンスなどで構成され、2018年は世界100カ国以上から1800社以上が出展し、6日間の開催期間に約24万5000人が来場している。2014年にはトークを中心とした「IFA+Summit」を新設し、2018年からはモビリティをテーマにした「Shift Automotive」も併設するなど、プログラムを刷新することで世界からの注目度を高めている。
2017年に新設されたIFA NEXTでは、スタートアップやイノベーティブなテクノロジーに特化した展示が集まり、ホール中央では出展社によるプレゼンやスタートアップのピッチイベントなども実施される。2018年は展示スペースも拡大し、欧州だけでなく香港や韓国などアジアから国や都市単位での出展があったが、日本としてそうした動きはなかった。
GPCでの発表を終えた後のインタビューで西山氏は、「2019年はパートナー国として経済産業省がブースを設営し、欧州への進出を目指す企業やスタートアップの出展を支援する予定」と話した。現時点でブース構成やスペースなどの詳細は調整中だが、CESのJ-Startupとは異なる展開を検討しており、ものづくりやハードウェアスタートアップ以外に、Uniposのような新しいサービスを展開する企業の参加もうながす。毎年IFAでホール展示を行うパナソニックとはイベント全体で相乗効果を出すよう連携し、「他にもアイデアや希望があればコラボレーションしたい」としている。
初のパートナー国に日本を選んだことについて、IFAグローバル統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏は、「日本は誰もが知るエンジニアリング国であり、IFAのテーマである "COINNOVATION"(共創イノベーション)を象徴する国だと感じている。もう1つのテーマである "TRAST"(信頼性)を重んじていることも我々の調査データでも裏付けされており、国や文化を越えて共に世界へ新しい発信ができること期待している」と述べた。
IFA+NEXTはベルリンメッセで9月6〜11日に開催されるIFA2019の期間中に行われる。なお、同期間中に開催されるShift Automotiveでは、キー・パートナーに富士通がSMARTと共に選ばれている。2019年はIFA全体で日本の存在感が高まりそうだ。
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