Facebookを分割するべきではない。同社に必要なのは強固な新しい規制だ。共同創業者であるChris Hughes氏の主張に対し、Facebookはそのように反論している。
Hughes氏は米国時間5月9日、The New York Times(NYT)への寄稿で、Facebookの最高経営責任者(CEO)であるMark Zuckerberg氏が過大な権力を持っており、同社は独占状態にあると述べていた。同氏は、Facebookを分割するべきだと語った。
これに対し、Facebookのグローバルアフェアーズおよびコミュニケーション担当バイスプレジデントのNick Clegg氏がNYTの論説で反論した。
Clegg氏は5月11日付けの論説で、「企業は自社の行動に責任を負うべきだというHughes氏の主張は正しい」と述べている。「しかし、同氏が示した選挙干渉やプライバシー保護のような課題は、Facebookや他のどの大手ハイテク企業を分割しても消えることはない。そうした問題を正すには、大きなリソースと強力な新規則が必要だ」(Clegg氏)
Facebookは昨今、選挙干渉やフェイクニュース、ヘイトスピーチなどの問題に十分に対処していないと厳しく批判されている。批評家らは、Facebookの莫大な権力を抑制しなければならないと主張している。
またFacebookは、イノベーションを生み出して、競合他社が挑む競争に応じるのではなく、ライバル企業を買いあさってきただけだとする非難の声もある。Facebookの急速な成長は、写真共有サイトのInstagramやメッセージングサービスのWhatsAppといった買収によるものだと批評家らは述べている。
Facebookはソーシャルメディアなどのハイテク企業に対する監視体制の強化を促しているとClegg氏は述べた。同氏は、Zuckerberg氏が先週、規制の可能性についてフランス政府と話し合うために渡仏したと説明し、3月末にWashington Postに掲載されたZuckerberg氏の論説と同様の主張を持ち出した。
Zuckerberg氏は、「政府や規制当局がより積極的な役割を果たすことが必要だ」とし、新たな規制が必要な分野として、悪影響を及ぼすコンテンツ、選挙の完全性、プライバシー、データポータビリティの4つを挙げていた。
Clegg氏は、Facebookの規模に対する批判は誤っていると述べている。Facebookは大規模だが、小さな部門で構成されており、それぞれが多数の競争に直面しているとし、例えば、写真や動画共有の競合としては、PinterestやSnapchat、TikTok、Twitter、YouTubeなどがあると説明した。
また同氏は、「世界的に、ソーシャルメディアが置かれている状況について理解されなければならない。中国だけでも、TencentやSinaなどの大手を含め、複数の大規模なソーシャルメディア企業が存在する」とし、「欧州、そしてもちろん中国の人々には、米国の政治家が米国最大規模のグローバル企業を解体することについて議論するのは想定外だろう」と述べている。
またClegg氏は、Facebookは規模が大きいからこそ、その多様なプラットフォームの統制に莫大なリソースを注ぐことができると述べている。独占禁止法は、経営者を罰するためのものではなく、革新的で安価な製品を提供することによって、消費者を保護するものだと語った。
そのような法律の主な目的は、「低価格で高品質な製品やサービスを利用できるようにすることを保証し、消費者を保護することだ」と同氏は記している。「特に技術の場合は、迅速なイノベーションだ。それこそまさに、Facebookが注力している部分だ。最良の製品を構築し、消費者に無料で提供するとともに、広告主から資金を得ている」(Clegg氏)
Clegg氏は、「大きいこと自体は悪いことではない」とし、「成功を罰するべきではない。われわれの成功は、世界中の膨大な数の人々が互いにコミュニケーションを取る新たな手段をもたらした。広告収入を得ることで、われわれはそうした手段を無料で人々に提供できている。Facebookを分割するべきではない。ただし、当社が責任を負わなければならないというのは確かだ」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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