テレビが薄型になり、電源や外部機器とのケーブルがだらしなく、目立ってしまう。ソニーの液晶テレビは以前はケーブルが外に出ていたが、ある時から突然、ケーブル処理がスマートになり、脚の中などに目立たなく、しまうようになった。これも、平井氏の指示で現場が覚醒した例だ。
「テレビは脚のデザインが大事なんですが、浮かせるとケーブルが見えてしまう。『モックではきれいに見えるけれど、普通のユーザーは何本もHDMIケーブルをつなぐのに、どうするの?かっこ悪いじゃない』」と実際に展示会場の現場でキレて、こんな失礼なことをするなと言ったことがありました。これでは商品がスターになってないって……」(2016年夏のインタビュー)。
言い続けると、現場にも平井氏の思いが通じてくる。言い始めて数年経つと、テレビのデザイナーは始めからスタンドに気を配って、ケーブルが見えないように、きれいにデザインしてくるようになった。それも平井氏の指示がなくても、自主的にケーブル処理を進んで行った。
「内心は口うるさいと思っていたのかもしれません。でもCESのアワードでソニーのテレビのケーブルマネジメントはよく考えられていると外部から評価が得られると、みんながケーブルマネジメントは任せてください!って雰囲気になったのです。そのモメンタムが出るまでは、言い続ける必要がありますね。言い続けて、最初は『社長がうるさいから、対応しなきゃ』という感じではありましたが、外部の評価が得られると、グレートになる」(2016年夏のインタビュー)。
平井氏は頑固だ。常に発信し、言い聞かせる。最初は怪しい奴だなと思われていたが、言い続けていると、社長の言うことも一里はあるなぁとの理解が得られていく。時間は掛かるが、納得することなら、言われる前にやるようになる。このテレビのケーブルマネジメントが、まさにそうだった。
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