NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は4月23日、携帯電話番号だけでメッセージをやり取りできる「+メッセージ(プラスメッセージ)」の機能拡充を発表した。新たに+メッセージ上に企業アカウントを開設でき、企業が個人と直接やり取りできるようになる。
同日に開かれた3社の発表会では、+メッセージの現状と機能拡充の詳細が説明された。+メッセージには、SMSの進化系というべきRCS(Rich Communication Services)という技術が用いられており、あらかじめ店頭で本人であることを確認して割り当てられた、電話番号とSIMによって認証する仕組みを採用している。
そのため「+メッセージの番号はあなたそのもの」であり、高いセキュリティを備え安全にコミュニケーションできることが、他のメッセンジャーサービスとの大きな違いになるという。
そうした特徴から、+メッセージは個人だけでなく企業でのコミュニケーションにも利用されているそうで、提供開始から約1年となる2019年4月時点で利用者数が800万に達しているとのこと。そうした+メッセージの特徴をより生かすための機能拡充として、今回発表されたのが企業の公式アカウントを開設できる仕組みだ。
これは申請のあった企業を携帯大手3社がそれぞれに審査し、本物であると認定したアカウントに対して認証済みマークを付与し、さまざまなサービスを提供できるようにするというもの。
+メッセージの利用者は電話番号を通じてあらかじめ本人認証されていることから、企業はそれを生かしたさまざまな手続きやサービスが提供できる。発表会会場ではその具体例として、レストランサイトでの予約や携帯電話ショップの来店予約、銀行口座の住所変更手続きなどを紹介した。
こうした仕組みを提供するに至ったのには、従来の仕組みでは企業側と個人とが円滑なコミュニケーションが取れなくなっているという背景があるという。企業側は封書や電話、Eメールなどで個人に連絡しようとするが、封書は開封されているかどうかが分かりにくい、電話はつながらない、Eメールはなりすましがあるなどの問題があり、効率の良いコミュニケーションができていなかったという。
一方で個人側は、封書や電話では面倒なことが多く、Eメールは見逃してしまったり、セキュリティに不安があったりするなどして、やはり企業と効率よくコミュニケーションをするのが難しくなっていると説明。そうした問題も、電話番号を通して安全に、時間や場所を問わずコミュニケーションができる+メッセージであれば解決できると見ている。
公式アカウントによるサービス提供時期は5月以降順次とされているが、KDDIが先行する形で、ドコモとソフトバンクは8月以降の提供となる。また公式アカウントに対応する企業を獲得する営業は3社がそれぞれに実施し、審査するのも3社それぞれになることから、キャリアによって公式アカウントとして登録される企業が異なるケースもあるそうだ。
発表会では、この公式アカウントを活用した新たな取り組みとして、JCB、東京海上日動火災保険、日本生命保険、野村証券、三菱UFJ銀行、トッパン・フォームズの6社が、+メッセージと連携した共通手続きプラットフォームの検討を開始したことを明らかにした。
6社は店頭や電話、ウェブ、郵便など、これまで企業ごとに異なっていた顧客の手続きを、共通プラットフォームを通じて+メッセージ上で簡単に手続きできるようにするべく、連携を検討していくとのことだ。具体的には住所の変更、災害時のサポート、そして口座振替の申し込みなどを、スマートフォンから+メッセージを使ってできるようにする予定で、すべての金融機関の手続きを一括でできる仕組みも用意する考えのようだ。
当初は5つの金融機関と、プラットフォームを開発・運用するトッパン・フォームズとで検討を進め、2019年度内のサービス開始を予定しているとのこと。最終的にはすべての金融機関が利用できるエコシステムになることを目指すとしている。
ところで、+メッセージが利用できるのは、現在もなお携帯大手3社のみ。サブブランドやMVNOからは同サービスが提供されておらず、10月の新規参入が予定されている楽天モバイルへの対応もいまだ決まっていない。この点について3社は、提供を排他するものではなく、要望があれば検討していきたいと回答した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス