都会は車が多いため渋滞しがちで、駐車場も少なく、自動車での移動はしにくい。そこで、キックボードやキックスケーター、ホバーボードなどと呼ばれる立ち乗り式の電動スクーターが見直され、都市部ではシェアリングサービスの人気が高まっている。
ラストマイルの移動手段として使いやすいため、Ford Motor傘下企業のFord Global Technologiesがホバーボードに関する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間3月21日に「VERSATILE URBAN ELECTRIC TRANSPORT DEVICE AND SYSTEM」(公開特許番号「US 2019/0084364 A1」)として公開された。出願日は2016年9月9日。
この特許は、人が板状のプラットフォームに乗って走行する移動デバイスに適用する技術を説明したもの。プラットフォームは、デバイスのフレームに対して角度を変えられる構造。プラットフォームの角度は、デバイスに搭載されたコンピューターがアクチュエーターを使って制御する。
コンピューターは、走行するデバイスの速度が変わると予測した場合に、プラットフォームの角度を変える。たとえば、速度を上げるときに前傾、下げるときに後傾させれば、速度変化にともなう加速度を相殺できるので、より安定して乗っていられるだろう。
路面状況の変化、路面の角度変化に応じても、プラットフォームの角度を変える。また、乗っている人の重心がデバイスの中央に来るよう角度を制御するアイデアにも言及している。
なお、クレーム(請求項)の記述は単に「transport device(移動デバイス)」となっているが、タイトルには「versatile electric transport device(多目的電動移動デバイス)」、実施例には「electric transport device(電動移動デバイス)」とあり、電気モーターの力で走行するデバイスを想定していることが分かる。
さらに、実施例の図面にはホバーボード型のデバイスが描かれていて、立った状態で乗るらしい。図6には、自動車のトランクに移動デバイスが格納されており、自動車を補助する移動手段としての利用が念頭にあるようだ。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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