注文した1時間後に商品が届くサービスが、ロボットのおかげで間もなくより多くの市場で実現されるかもしれない。
オートメーションによって、大規模で超高速な受注処理の採算性が取れるようになったが、小売業者が本格的にオンデマンドで配送するうえで、都市部から離れた場所にある従来の物流施設の物理的な距離が妨げとなっていた。だが小規模な自動化拠点のネットワークを利用したマイクロフルフィルメントによって、小売業者が製品を都市の中心部に保管しながらオートメーションの効率のメリットを得られるようになった。
CommonSense Roboticsは、機動力のあるマイクロフルフィルメントセンター(MFC)の導入によって、物流のオートメーションのメリットを生かそうとしており、このマイクロフルフィルメントのアプローチに大きな期待をかけている。同社は3月、初めてロボットによるオンデマンドのフルフィルメントで1時間以内の配送を実現するという、重要な節目を迎えたという。
イスラエルで行われるこの配送は、同国の健康・美容商品の小売業者であるSuper-Pharmとの提携により実現している。CommonSense RoboticsがYouTubeで公開している動画に、受注から配送までのプロセスが収められており、いかにして自動化されたフルフィルメントが家庭への超高速な配送を可能にしているかが非常に分かりやすくなっている。
動画では、歯磨き粉、おむつ、粉ミルク、シッピーカップの受注からすべてが始まる。筆者にも幼児と生後4カ月の乳児がいるので、この注文にはなじみがある。フルフィルメントセンターの中心にあるのは自動化した倉庫エリアで、ここでロボットが大型の容器から商品を取り出す。取り出された商品は自動カートに乗せられ、作業員が商品のスキャニングと梱包を行う中央ターミナルへと運ばれる。
マイクロフルフィルメントで想定される障害の1つは、大規模な流通センターと同じレベルの多様な商品に対応できないかもしれないことだ。だがCommonSenseの最高経営責任者(CEO)のElram Goren氏は、そう考えるのは間違いだと述べる。
「当社は実際のところ小売業者に商品の多様性を制限させているわけではない。当社のMFCは一般的な食料品店にあるすべての商品に対応できる。そこが市場における当社のソリューションの非常に独特な点だ。というのも当社の全体的な技術スタックは独自かつ目的に応じて構築されており、小売業者に取扱商品と配送スピードのどちらかを選ばせるようなことはしないからだ」(Goren氏)
Goren氏は動画に収められているMFCを、CommonSenseにとって初となる商用オペレーションの例として挙げている。このセンターは6000平方フィート(約560平方メートル)で、最大1万点の商品に対応する。マイクロフルフィルメントの基準で考えると小規模だが、ここではドラッグストアチェーンをサポートしており、通常は取扱う商品がはるかに少ないため問題はなさそうだ。より大規模な物流センターは約3万~4万SKUに対応するだろう。
Amazonのフルフィルメントセンターと比較してみるとどうだろうか。
「Amazonの大規模なフルフィルメントセンターは巨大な施設で、中には100万平方メートル(約1平方キロメートル)を超えるものもあり、何百万ものさまざまな種類の商品を収容できる」とGoren氏は述べている。「当社がMFCでできるのは、当社のオペレーション(と小売業者の商品)を顧客が住む場所に近づけることで、それにより高速な配送を可能にし、収益性を高めることだ。小売業者が取扱商品の拡大を求める場合は、当社はそういったニーズに応える新たなセンターを、業者がサービスを提供したい顧客がいる場所で極めて迅速に追加することができる」(Goren氏)
このすべてが、迅速なフルフィルメントにおけるAmazonの独占状態を崩す可能性につながる。CommonSense Roboticsのモデルはサービスとして提供されるもので、小規模の小売チェーンは非常に高速なエンドツーエンドの受注処理のサービスを利用できるようになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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