Eコマースではこれまで、規模を重視してきた。しかし、当日配送や、さらには1時間以内の配送となると、販売する商品の数に関係なく、経済性が厄介な問題になる。Amazonなど採算性を重視しない企業は競争相手を追い落とすことで支配的地位を得ているが、超高速配送をめぐる競争において収益性は実現が難しいベンチマークとなっている。
それが特に顕著なのが食料雑貨の配送で、温度帯や取り扱いの制約という点で難しさを抱えている。
超高速な食料雑貨配送の収益性を高める上でオートメーションが重要な役割を果たすことになるのは間違いないが、イスラエルの新興企業CommonSense Roboticsの見解によると、これ以外に必要な要素は「小さく考える」ことだ。同社は現地時間10月11日、初のマイクロフルフィルメントセンター(MFC)の操業をテルアビブで開始し、受注した商品の配送を始めたと発表した。
高速なフルフィルメントにとってMFCが魅力的な解決策を提供してくれる理由を理解するには、今日の自動化されたフルフィルメントがどう機能するかに目を向ける必要がある。通常、ロボットを利用したフルフィルメントセンターは倉庫ほどの規模がある。こういった施設では大量の物流用ロボットを設置しており、これらのロボットは人間と肩を並べて作業し、膨大な有効在庫の中から商品を取り出して梱包する。こういった作業の規模から、センターはほぼ例外なく都市中心部から離れた場所に置かれている。
問題となるのは、高速配送をこれほど難しくしている原因の1つでもあるのだが、ほとんどの人が都市の中心部に居住していることだ。距離があればあるほど配送には時間がかかる。オートメーションによってフルフィルメントのコストは削減できるが、センターから出荷された荷物は通常、時間とコストをかけて配送されることになる。Amazonは2017年、配送費に217億ドル(約2兆4300億円)を支出している。
CommonSenseの解決策は、食料雑貨のフルフィルメントセンターを都市に移すことだ。それには、スペースの面である程度妥協する必要があった。テルアビブに新設されたMFCは約6000平方フィート(約560平方メートル)で、優に12万平方フィート(約1万1150平方メートル)はある平均的な物流フルフィルメントセンターよりはるかに小規模だ。
これらの施設はCommonSense独自のロボットシステムを備える。このシステムのおかげで、スペースを最大限に活用できるだけでなく、人間のスタッフはさまざまな持ち場を走り回る必要がなく、同じ場所から動かなくて済む。Amazonのフルフィルメントセンターが提供する品揃えにはかなわないが、ほとんどの食料雑貨には十分な規模だ。
米国で食料雑貨への支出全体にオンラインが占める割合は2017年に前年比で22%増加しており、オンラインでの食品販売は2025年までに1000億ドル(約11兆円)に達すると予想されている。そうしたことを考えると、1時間以内の配送によってCommonSenseは確固たる立場を築き、家庭への食品配送で主導的な地位にいるAmazonから市場シェアを奪う可能性がある。
これはAmazonやWalmartに恐れをなしていた小規模のスーパーマーケットチェーンにとって朗報だ。CommonSenseはサードパーティーのフルフィルメント会社として機能し、各地のスーパーと契約して顧客に商品を配送する。
同社初のMFCは、イスラエルの健康・美容商品の小売業者であるSuperpharmの顧客に対応することになる。2019年には米国の東海岸でもMFCを操業する予定だ。どのスーパーマーケットチェーンが米国の拠点と契約するかは公表されていないが、独自の配送網を持っていない大手チェーンも複数ある。
食品の買い物が急速にオンラインに移行している状況を鑑みると、大手スーパーマーケットチェーンのいくつかは確実にサードパーティーのフルフィルメント会社に解決策を求めることになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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