アマゾンジャパンは、国内で2番目となるアマゾン・ロボティクス(Amazon Robotics)を導入した物流拠点「アマゾン茨木フルフィルメントセンター」(以下、茨木FC)を、大阪府茨木市に2018年10月に開設。4月4日からの本格稼働にあわせて施設の一部を報道向けに公開した。なお、Amazon Roboticsが関西圏で導入されるのはこれが初めて。
パナソニック茨木工場跡地に大和ハウス工業が建設した新拠点は、物流センターや工場、住宅地や学校が混在するエリア内にある。4階建てで1〜2階は商品倉庫およびスタッフのためのスペース、3〜4階はAmazon Roboticsが稼働する作業スペースとなっており、のべ床面積は約6万4000平方メートルとなっている。
Amazon Roboticsは「ドライブ(Drive)」と呼ばれる自走式ロボットが商品棚を移動させることで、スタッフが倉庫内を歩き回らず様々な商品の出し入れができるシステム。2016年にドライブの元となるロボットを開発するKiva Systemsを買収してから自社で開発を進め、全世界25カ所で100万台以上が稼働している。
日本には2016年12月に川崎FCへ初めて導入され、2年後に建設された茨木FCでは最新のドライブが導入されている。移動速度は秒速約1.7mと変わらないが、重量は145kgから136kgと軽くなった一方で、積載重量を約340kgから567kgと増やすことで、作業効率を上げているという。
今回公開されたのは、Amazon Roboticsが実際に稼働するエリアで、フェンスで区切られた無人スペースでドライブが黙々と作業する光景が紹介された。高さが数メートルある可動式の商品棚が隙間なくずらりと並んでおり、その下にある隙間に入り込んだドライブがバランスを崩さず持ち上げ、床に貼られたQRコードを読み込み自在に移動する。ドライブ同士は衝突しないよう、またうっかり商品が落ちても踏まないよう設計されており、モーターとタイヤが回転する音が響く程度でほとんど騒音はしない。スタッフの数も少ないせいか全体的に静かな印象だった。
もう1つ公開されたのは、ドライブが運ぶ商品棚にスタッフが手作業で商品を出し入れする作業で、1カ所につき1人で作業するようになっていた。収納はコンテナで運ばれてきた商品を大きさに応じて棚に入れる作業で、商品に応じてドライブが運んできた棚の中にスキャンした商品を置いていく。置く場所は特定されず、モニターにおおまかに色分けして表示されたところから入れやすい場所を選べばいいため、エラーが出にくく作業負担も少ない。
出荷作業の時も同じく、ドライブが商品の入った棚を自動でスタッフの前に運んできてくれる。商品の位置と商品写真がモニターに表示され、取り出した商品をスキャンしてランプの点いたコンテナに入れていくだけでいい。コンテナの設置などはほぼ自動化されているため、初めてでも正確に作業ができるというわけだ。
ドライブが動き回る場所には基本的に人は入らないので安全性はもとより、全体の作業環境の改善にも力を入れているのが茨木FCの特徴だという。他の工場でもよく見られるような、基本的な注意事項を学ぶ「安全道場」と呼ばれる教育スペースや、要望や相談をする窓口などを設けている。事故を減らすポイントとして、キャリーカートやコンテナなどの道具は定位置が全て決められている。健康面では空調やウォーターサーバーを完備し、カフェテリアでは健康に配慮したオリジナルメニューを提供し、夜も利用できるようにしている。
アマゾンジャパンのジェフ・ハヤシダ社長は、茨木FCについて「最新のドライブを導入し、他にも様々な最新技術を取り入れて業務環境を大幅に改善し、負担を減らしている」と話す。また、地域社会に根ざした場所にするため、地域の活性化や雇用促進だけでなく、小学生を対象にした施設見学会や体験授業も開き、4月24日には茨木市長と近隣小学校を招いた見学会も予定されている。
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