スマートフォン用チップで最もよく知られるQualcommが、数千台もの高性能サーバーが稼働するデータセンターで使われる人工知能(AI)チップを開発する。
AI、または、人間の脳の模倣に基づくニューラルネットワーク技術は、写真に写っているものを区別したり、人間の会話を理解したりといった能力によって、コンピューティング分野に革新をもたらしている。多数のAIがスマートフォンやノートPCに搭載されているが、処理の大半はデータセンターで実行されている。最大のAI技術を保有する企業の1社であるGoogleが、独自のAIチップを設計しているのはそのためだ。
Qualcommが提供予定の「Cloud AI 100」チップは、モバイルで培った同社の技術をデータセンターにもたらすものだ。データセンターのサーバーは、バッテリの消耗を気にする必要のない電源に接続されている。それでも、十分な電力を供給しつつ、コンピューターの障害につながりかねない廃熱を除去しなければならないという観点において、電力はやはり、主要な制約となる。
「ワットあたりのパフォーマンスという観点で考えている。当社はAI用のクラウドにおいて、非常に強力な地位を確立できる」と、Qualcommのシニアバイスプレジデントを務めるKeith Kressin氏は述べた。素の性能では、QualcommのCloud AI 100チップは、現行技術よりも10倍高速になるはずだと同氏は述べた。
同社が予定どおり2020年にチップを提供すれば、顔認識、偽造検出、翻訳、医療スキャン解析など、ニューラルネットワーク技術のあらゆる応用分野において、AI処理がさらに普及し、高速かつ高度になると期待される。
しかし、他のチップメーカーも指をくわえてそれを見ているわけではない。スタートアップからAppleに至るまで、チップに関わる多くの企業が独自のAIチップ技術を開発している。
プロトタイプチップを2019年後半に提供し、2020年には正式版を出荷する予定だと、Kressin氏は述べた。Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)が、プロセッサーを製造する予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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