ワールドワイドウェブ(WWW)の生みの親であるTim Berners-Lee氏はポルトガルのリスボンで現地時間11月5日に開幕した「Web Summit」で、世界中の人々がオンラインにアクセスできるようにし、インターネットユーザーの自由を守るというビジョンについて説明した。
Berners-Lee氏は自身が創立した組織であるWorld Wide Web Foundationを通して、「Contract for the Web」(ウェブのための協定)を作成することを明らかにした。同氏はウェブの未来を保護し強化するために、政府や企業、市民がこの取り組みに貢献し参加することを期待している。
世界人口の100%がインターネットの自由を脅かされることなくウェブの恩恵を享受できること、そして、その実現に向けて全世界が協力することが同氏の現在のビジョンだ。同氏が5日に提示した協定は、それを実行するための枠組みであり、参加する市民と政府、企業による真剣な取り組みになることを目指している。
その中で、同氏は政府に対し、全市民が常時ウェブに完全にアクセスできるようするために献身的に取り組み、同時に全市民のプライバシーも尊重するよう求めた。さらに、テクノロジ企業がこれらの権利の保護に向けた役割を果たし、人類の良い面を支援する技術を開発することも求めている。同氏が思い描いているのは、誰もが果たすべき明確な役割を持ち、それ故に発言権も有するような仕組みだ。
「各当事者は一致団結して、いくつかの価値観に従って行動すること、自分たちの働き方を変えること、そして、自らの信頼性を高め、他者をもっと信頼することへの献身的な取り組みを求められるだろう」と同氏は述べ、「利他主義からこれを実行することは誰にも望んでいない。共同作業として実行してほしい」とした。
World Wide Web Foundationが提示した基本理念を採用する協定書の作成と交渉には、これと同じ共同作業の精神が用いられる。Berners-Lee氏は、ありとあらゆるインターネットユーザーがオープン性、アクセシビリティ、匿名性、ヘイトスピーチなどさまざまな問題に発言権を持つことを認めるワーキンググループやディスカッションを思い描いている。
「協定書は2019年5月までに作成が完了し、署名準備が整うはずだ」(同氏)
同協定の約60の初期支援者には、FacebookやGoogle、フランス政府をはじめ、さまざまなテクノロジ企業、政治家、非政府組織、デジタル権利組織が含まれる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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