インターネットは、3月12日で誕生から30年を迎える。しかし生みの親であるTim Berners-Lee氏は、すでにこの先の30年に目を向けている。
同氏は毎年ウェブの誕生日に公開している書簡で、過去30年にわたってインターネットがどのように発展してきたか振り返るよりも、今後30年で何が達成できるか楽観的な見解を示すことに重点を置いている。
「この30年間でウェブがどれだけ変化したかを考えれば、今われわれが知っているウェブが今後30年間でいい方向に変化するはずなどないと考えるのは、敗北主義的であり想像力に欠けている。よりよいウェブの構築を投げ出してしまうならば、ウェブがわれわれを失望させるのではない。われわれがウェブを失望させるのだ」(Berners-Lee氏)
欧州原子核研究機構(CERN)に勤めていたBerners-Lee氏が、複雑な粒子加速器を稼働させるために世界中から集まった研究者たちのために役立てようと「a universal linked information system」(リンクされた普遍的情報システム)という概念を発表したのは、1989年3月12日のことだった。
Berners-Lee氏は書簡の中で、機能不全をもたらしている3つの元凶を具体的に示した。意図的な誤用、誤情報やクリックベイトを広めることで儲けが得られるようなシステムデザインの欠陥、そして異常な憎しみや二極化した会話を生み出してしまう、善意の設計から生じた意図せぬ結果の3つだ。
「どこかの政府や1つのソーシャルネットワーク、あるいは人間の精神に責めを負わせれば済むという話ではない。あまりにも話を単純化してしまうと、こうした問題が引き起こす現象を追いかけることにエネルギーを使い果たしてしまい、根本的な原因を究明することがおろそかになる危険がある」(Berners-Lee氏)
同氏はこの書簡でも、一般市民、企業、政府の誰もが、ウェブの規範とすべき原則を確立する取り組みに貢献し、またそうする責任を果たす機会があるのだと繰り返した。Berners-Lee氏がこうした考えを初めて述べたのは、2018年11月にリスボンで開催された「Web Summit」でのことだ。同氏は、このような機会を提供するために「Contract for the Web」(ウェブのための協定)という枠組みを作成することを同イベントで発表した。
今後は、この協定にどのようなものを含めるのかを引き続き議論し、「2019年内」には何らかの成果を生み出したいとBerners-Lee氏は述べている。ただし、この協定は「一時しのぎの修正策」のリストではなく、継続的なプロセスでなければばらないと注意を促している。
「(この協定は)進むべき道筋を照らす星となるような明確な内容にすべきだが、同時に、技術の急速な変化に対応できる柔軟性を持たせなければならない。これはわれわれが、デジタルの青春期から、より成熟し、責任感を持った排他的でない未来へと向かう旅なのだ」(Berners-Lee氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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