パナソニックとファミリーマートが4月2日、「次世代型コンビニエンスストア」をオープンした。顔認証決済機能を用意するほか、価格表示や店内POPを電子化し、入れ替え業務を軽減。店舗内はカメラやセンサーを備え、来店客の動線から店舗レイアウトや棚割りを導き出す。
開店したのは、神奈川県横浜市の「ファミリーマート 佐江戸店」。JR横浜線鴨居駅から徒歩約10分の場所に位置し、周りにはパナソニックの事業所が建ち並ぶ。パナソニックでは2018年4月1日に、店舗運営を統括する100%子会社「ストアビジネスソリューションズ」を設立しており、同社はファミリーマートとフランチャイズ契約を締結。ファミリーマート 佐江戸店もパナソニックがファミリーマートとフランチャイズ契約する形で運営する。
通常店舗として利用できるほか、顔認証決済機能やスマートフォンアプリから注文や決済ができる「モバイルオーダー」など、IoTを活用した機能はパナソニック社員に限定してサービスを提供。実証実験店舗に位置づける。
店内には、カメラ約20台、センサー約50台を設置。センサーは、エアコンなどにも使われている赤外線センサーを採用しており、人のいるいないを検知することで、店内の人の動きを可視化する仕組み。カメラは駐車場にも設置し、タクシーやトラックなど車種の判別も可能だ。
カメラやセンサーによる滞留ヒートマップやスマートフォンアプリでのアンケートなどを組み合わせて、データ経営をするIoTデータマーケティングを導入し、店舗レイアウトや棚割り、品ぞろえなどに活用する。
ファミリーマート 代表取締役社長の澤田貴司氏は「樋口(パナソニックコネクティッドソリューションズ社 社長の樋口泰行氏)さんとは以前から知り合いで、いろいろと話しをさせていただくうち、どうせやるならフランチャイズになってやろうという提案をもらった。ファミリーマートからは副店長を派遣し、一緒に店舗業務を担当していく。佐江戸店は、パナソニックの隣にあり、店舗のすぐそばに技術のスタッフがいることは本当に心強い。新しい取り組みということでいろいろ苦労もあると思うが、一緒に解決できることを楽しみにしている」とコメントした。
一方、樋口氏は「今まで培ってきた100年のものづくりのノウハウが製造業以外の部分にも求められていると感じている。パナソニックは、物流、流通、小売、外食業の現場における困りごとを解決するインテグレーターになりたい。課題解決には、リアルな環境で実証することが大事。実際にやってみて、だめならまたやり直す、修正ポイントをはっきりとさせ、高速回転させることが重要。今回フランチャイズ契約という形をとったのは、店舗運営まで踏み込むことによって、お困りごとがつぶさにわかると思ったから」と、店舗運営まで手がける理由を話した。
店内には、顔認証決済/物体検知、モバイルオーダー、IoTデータマーケティング、店内POP・電子棚札化、イートイン・空間演出といったソリューションを導入済み。加えて、外国人への接客サービスの向上を目的とした「対面ホンヤク」システムなども備える。
澤田氏は「労働力不足は待ったなしの状況だと考えている。今回導入したソリューションは今すぐに使えるものも多々あり、実証実験した上で使えるものはすぐに展開したい。検証を進め、スピーディに導入していきたいと考えている」と今後について話した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」