「大人と同じ機会を与える」--CA Tech Kidsとアドビが考える次世代クリエイター育成 - (page 2)

プログラミング必修化による「学校」との関係は

ーープログラミング必修化が2020年に始まります。Tech Kids Schoolへの入会は増えていますか。

上野氏 : 増えています。ただ、プログラミング必修化を理由に来た方は、プログラミングを表現手段と捉えているというよりは、ロジカルシンキングのための知育的なものと捉えているような気がしています。私たちはプログラミングは鉛筆で、クリエイティブツールは色鉛筆というイメージで捉えており、使いこなす「道具」だという認識を持っていますが、世間の親御さんにはそういうイメージは浸透していないようです。そういったことの啓蒙もすごく必要だと考えています。

 プログラミングにデザインと言われてもピンと来ないかもしれませんが、ものづくりの手段と考えると極めて当然な話であって、その感覚を親御さんたちにも伝えていきたいと考えています。

完成作品プロモーション動画発表会に登壇した上野氏
完成作品プロモーション動画発表会に登壇した上野氏

ーー学校のプログラミング教育では、クリエイティビティまで手が回らないかもしれません。

上野氏 : 公教育の方向性として、少なくとも現時点ではあまりクリエイティビティを重要視されているようには見えません。我々のような民間事業者がこういう取り組みを始めることで、公教育と民間事業者による分業も可能だと思いますし、民間事業者から公教育にあるべき姿をリードしていく。僭越ですが、そういうあり方もいいのかなと考えています。すべての学校で子どもたちが文房具のようにプログラミングやデザインを使いこなしていくことが究極的な理想だと思いますが、まだまだ遠い道のりだなと感じています。アドビは学校や行政に働きかけをしているので、これから変わっていくのではと考えています。

小池氏 : 学校と民間事業者との関係は、学校の水泳とスイミングスクールの関係に近いと思っています。学校の体育で水泳はほんの一瞬ですが、そこで興味を持った子はスイミングスクールに通い始めます。そのように、学校が入り口になるのは良いことなのですが、入り口が今の方向性で大丈夫かというのは考えどころで、我々も声をあげていかなければいけないと考えています。

 まず、日本の学校で使われているPCはスペックが足りていません。それはアドビのツールを使うためという観点ではなく、基本的なプログラミングやオフィスツールを使う意味でも環境が整っていません。グローバルスタンダードと比較すると、日本は遅れを取っている状態です。PCのスペックとインターネットの環境整備、この2つがしっかり学校で提供されて、プログラミング教育やデジタルツールを使う入り口を作ることを、業界全体で実現できたらなと考えています。

アーサー氏 : 米国では、Chromebookで学ぶことがスタンダードになっています。インターネットを通じて、みんなでコラボレーションすることや、一緒に共同編集することが当たり前にになっていますね。

完成作品プロモーション動画発表会に登壇したミチ・アーサー氏
完成作品プロモーション動画発表会に登壇したミチ・アーサー氏

ーーアドビの教育への取り組みを教えてください。

アーサー氏 : 教育は重要だと考えています。次世代から始めようというのが私たちの思いです。アドビは以前からイニシアティブを持って教育事業を行っています。無料あるいは低価格で、学生にプロが使っている製品を使えるようにするプログラムも提供しています。私たちのゴールは、ビジュアルで自己表現ができるようにサポートすることです。

 今までは、どちらかというと高等教育に属する生徒向けに展開していたのですが、ここ数年は「K-12」と呼ばれている小中高校生に、年額5ドルでCreative Cloudを使える環境を提供しています。2018年は、K-12の人たちのCreative Cloudの利用がグローバルで200%増えました。

小池氏 : そのライセンスは日本でも提供されています。2018年6月に小中高校向けユーザー指定ライセンスをローンチしました。年額1ユーザー500円以下で、プロが使っているものと同じCreative Cloudを使っていただいています。

ーーKids Creators Studioの今後の展望を聞かせてください。

上野氏 : 2期生はこれでいったん終わりになります。3期以降はまだ何も決まっていません。ただし、Tech Kids Schoolでは、この春からCreative Cloudのアカウントをスクール生800人に付与することで、今回の4人と同じ機会を設けたいと思っています。

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