Facebook最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏はこの数年間で、Facebookのニュースフィードに表示される投稿を、友人や家族によるものを中心にしてニュース記事を減らすように移行させてきた。その結果、Facebookは、プロパガンダや偽のニュース記事の拡散を遅くすることができたかもしれないが、動画や記事の拡散においてFacebookに大いに依存していた一部のオンラインパブリッシャーは痛手を負うことになった。
今回、Facebookが制作しZuckerberg氏が同サイトに投稿した動画の中で、同氏はオンラインニュースを提供する仕組みに関する新しいアイデアを説明した。Zuckerberg氏は、例えば、Facebookに「高品質ニュース」用の専用セクションを設けることを提案している。また、それをサポートするために、パブリッシャーに対価を支払うというアイデアについて説明している。
「情報に通じたコミュニティーを構築するために高品質なジャーナリズムが演じる役割と、より高品質なニュースを掲載するニュースタブを設けるためにFacebookが適用すべき原則、例えば、それをサポートするためのビジネスモデルやエコシステムについて語った」と、Zuckerberg氏はこの動画の紹介文に記している。
Zuckerberg氏は米国時間3月30日、The Washington Postに寄稿した論説の中で、インターネットには新たなルールが必要だとの考えを示していた。
同氏は、「われわれは言論に対して過大な支配力があると政治家に言われることが多い」とし、「率直に言って私もそのとおりだと思う。言論に関する多くの重要な決定を、われわれが独自に下すべきではないと考えるようになった」と述べた。
4月1日に公開された動画は、「技術と社会の未来について一連のディスカッション」をするというZuckerberg氏の2019年の抱負の一環として位置づけられている。この動画の中で同氏は、欧州のパブリッシャーであるAxel SpringerのCEO、Mathias Dopfner氏と対談している。
Zuckerberg氏の提案に対し、Dopfner氏はその落とし穴を指摘した。同氏は、Facebookのキュレーションニュースの危険性を指摘し、さらに厳しい監視の目を招く恐れがあるとした。「誰が何を読むかという世界規模の判断について、1つの企業があまりに大きな支配力を持ってはならない」と同氏は述べた。「Facebookは、人々をつなぎ、人々が情報を得られるように支援する、より中立的な技術ネットワークとして位置づけられるべきだ。しかし、情報が正しいか正しくないか、良いものか悪いものか、われわれが好む情報源によるものかという点については、できる限り中立性を保つ必要がある」(Dopfner氏)
Dopfner氏はさらに、Facebookは、パブリッシャーが利益を得られるように支援すればするほど、より高品質なジャーナリズムを誘致できるようになるだろうとも述べ、「調査ジャーナリストや特派員、大規模な国外ネットワークを金銭的に支援するためのビジネスを構築する必要がある。彼らはそうした活動を無償で行うことはできない」とした。ただし、プラットフォームを情報操作に利用しようとする国は、そのような活動が可能だ。
Zuckerberg氏は、ニュースに関する自身のアイデアはまだ形成途上にあると述べた。
「世間から孤立してこれを構築したいとは思わない。これを機能させるための最良の方法について、今後も人々と意見を交わしていきたい」(同氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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