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「ニコ動」と「AbemaTV」で“打倒YouTube”--ドワンゴ夏野社長とCA藤田社長が狙い語る

藤井涼 (編集部)2019年03月27日 19時23分
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 動画共有サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴと、ネットテレビ局「AbemaTV」を運営するサイバーエージェント子会社のAbemaTVは3月27日、パートナーシップを締結したことを発表した。まずはコンテンツの連携から開始し、4月からAbemaTVの番組を、ニコニコ生放送やニコニコチャンネルでも放送する。

サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏(左)とドワンゴ代表取締役社長の夏野剛氏(右)
サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏(左)とドワンゴ代表取締役社長の夏野剛氏(右)

 なぜ、両者はこのタイミングで手を組むことにしたのか。ドワンゴ代表取締役社長の夏野剛氏と、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏がグループインタビューに答えた。

国内で争っている場合じゃない

——今回の提携の狙いを教えてください。

夏野氏 : 僕は日本のネット業界に一番足りていないのは連携だと思います。動画市場というのは、やはりYouTubeが一強で、プラス最近はNetflixとかAmazon Prime Videoとか、ほとんど“オール外資”の世界でやっている。一方で他に国内で大きなメジャープレーヤーが育っていくかというと、もう育つ余地はあまりない。とはいえ、やっぱり国産プラットフォームというのは日本語でやっている限り、極めて日本人のユーザーにとっては重要なので、もう組めるところはどんどん組んだ方が自然だし、それはお客さんも望むものじゃないかなと思っています。

 そういう意味だとAbemaTV(広告モデル)とニコニコ動画(有料会員モデル)っていうのは、ビジネスモデルが完全に違うんです。お互いのビジネスを邪魔しない、むしろシナジーがあるので、組めるところから始めて、それ以外もできることはどんどんやっていきたいですね。

藤田氏 : 僕も同意見なんですけど、GAFAなどの海外勢が全てを牛耳ることがおかしくない状況の中で、国内で競争している場合ではない。国内企業同士の連携っていうのは重要だと思うし、そういう意味ではニコニコ動画はPCが人気で文字でのコミュニケーションが強い。AbemaTVにとっては補完関係ができそうと思っています。

——コンテンツ連携にとどまらないシナジー効果で期待していることはありますか。

夏野氏 : ニコニコ動画はそもそもユーザージェネレーテッドコンテンツが大きいんですけど、それを刺激するために公式コンテンツで奇をてらうことを山ほどやってきたんですが、何しろ事業の立て直しのために就任した私としては、やっぱりやり続けるのはキツイなということがたくさんあります。

 とはいえ、ユーザージェネレーテッドだけでは刺激しきれないものがたくさんあるなと非常に思っていまして、その例が将棋だったり、囲碁だったり、ドキュメンタリーだったりする。やっぱりネットでしかできないコンテンツっていうのは我々の強みで、僕から見ると一緒にやった方がいいと思うし、いい番組ならどちらのルートでも見られる方がいいと思っているので、共通配信というのはすごく両方のユーザーにとっていいことだし、まだネットコンテンツを見てない層にとっても見るきっかけになるんじゃないかと期待してます。

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藤田氏 : 実は、ニコニコ動画のようなコンシューマージェネレーテッドメディアが必要ということは、AbemaTVの構想段階から考えていて、過去にはAbemaTVと一緒に(ライブ配信サービスの)「Abema FRESH」というサービスを連携してスタートさせているんです。そこが集客エンジンになって、最終的にはAbemaTV全体の視聴数が増えて、広告費の売り上げにつながるというのが基本的なビジネスモデルだったんですが、我々はAbema上でFRESHをうまく育てきれなかったんですね。今回ニコニコと提携したことで、全体の番組が見られる数がかなり増えると思うので、そこにおける広告収益が増えるという計画はあります。

——ニコニコ動画とAbemaTV、それぞれの強みは。

夏野氏 : ニコニコの強みはやっぱり、密度の濃いアツいユーザーがいることですね。1回アクセスした時の平均滞留時間が1時間近く今でもあって、すごくネットの中で盛り上がってる層がいます。そういう、コア層をいまだにきちんと持っていることだと思います。

藤田氏 : AbemaTVというのは、ニコ生で麻雀を見ていたときにスマホで牌が見えづらいという不満から生まれたサービスです(笑)。なので、スマホで見やすくしてるし、ユーザーインターフェースも新デバイスに合ったものというコンセプトでやっているので、ニコニコのコミュニティ感とはまた別物かなと。いわゆる、新しい若者向けのテレビを作ってきたということです。

——お二人の接点は何年前からあったのでしょう。また、いつから提携の話が出ていたのでしょうか。

夏野氏 : いや、長いね〜。グルメ友達なんですけど、一番最初に藤田さんと会ったのは、1999年くらいのiモードの時ですね。

藤田氏 : ホリエモン(堀江貴文氏)と一緒に、iモードに広告を配信したいって言いに行った時ですね。

夏野氏 : (提携の話については)僕が社長になるのが決まってからなので、今年(2019年)に決まりました。

——ニコニコ動画とAbemaTVではユーザーの年齢層が異なるのではないでしょうか。ニコニコ動画のユーザーに、AbemaTVの恋愛番組は受け入れられると思いますか。

夏野氏 : ニコニコのユーザー層が20代後半〜35歳くらいになっているのは事実なんですが、若い子も結構いて、超会議なんかには高校生もたくさん来ていますし、ユーザー生放送にも若い子はたくさんいるので、あまりニコニコが高齢化しているわけではないと僕は思ってます。それと、恋愛リアリティショーはどの層にもハマるのであまりそこは気にしてないです。日本はいま年代よりも、ジャンルで区切った方がいいのかなと思いますね。なのでAbemaTVのコンテンツはニコニコでも結構受けると思います。

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藤田氏 : 恋愛は1つのジャンルなので、バラエティやラップバトルもあるし、麻雀や釣り番組もあります。ニュースとかはそうだけど、ニコニコに流れたら、またコメントなども違ってきて楽しみ方が増えると思ってます。

——ニコニコ動画は有料会員数が減り続けています。また、サイバーエージェントは前回の決算で業績見通しを下方修正しました。AbemaTVへの先行投資が続いていますが黒字転換のめどは。

夏野氏 : おそらく、サブスクリプションモデルをネットの世界に持ち込んたのは僕が初めてだと思うんですけど(ドコモ時代に「iモード」で)、このモデルの良さと怖さを十分知り尽くしているものとしては、一度下降傾向になったものをまず止めるっていう作業がすごく大変で、さらに持ち直すのは2倍大変なんですね。なので、今いろいろと手を打っていますが、何とかまずは下げ止めを目標にしています。今回の提携もニコニコで見られるコンテンツが増えるということで、それならプレミアムを続けてもいいかという方がいれば、下げ止まりになると思っています。まだ、僕が社長になってから1カ月しか経っていないので、とにかく開発の優先順位を全て見直しています。プレミアム特典の充実とかもそうですし、入会増につながるような開発を最優先して色々なことをやっていこうと思っていますが、効果が出るのは今から開発しても最短で6カ月はかかると思います。なかなかチャレンジングな目標だと思っています。

藤田氏 : 会社全体のコストが増えすぎたことについては、2018年11月から見直しているので、次のクウォーターには巡航速度に戻ると思っています。AbemaTVの計画は全く変更はありません。

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