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将棋AIの技術を“投資領域”に--SMBC日興証券とHEROZ、分散投資の提案サービス開発 - (page 2)

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企業の決算データと株価データから1カ月先の期待収益を予測

 最後に登壇したHEROZ 取締役CFOの浅原大輔氏は、AI 株式ポートフォリオ診断の大まかな仕組みと、テスト結果を説明した。

 AI 株式ポートフォリオ診断では、企業の売上高、営業利益、総資産などの決算データと、始値、高値、安値、終値、時系列の出来高などの株価データを利用している。このデータに、1カ月後の株価を加えた“教師ありデータ”をHEROZ Kishinに学習させ、現代的なポートフォリオ理論も組み込んで予測モデルを構築した。

 この予測モデルは、新しい決算データと株価データを投入することで、当該企業の株式について1カ月先の期待収益をスコアとして算出する。このスコアから、最適なポートフォリオを導き出して提案する。

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HEROZ 取締役CFO 浅原大輔氏

 HEROZは、予測モデルの実力を確かめるために、2010年12月1日から2019年2月1日までの決算データと株価データを使用してテストを実施。予測モデルが推奨する上位10銘柄、あるいは上位100銘柄を保有するポートフォリオを組んだ場合と、全額を日経平均に投資した場合を比べたところ、上位10銘柄で組んだポートフォリオが運用開始時に比べて資産総額を12.99倍、上位100銘柄で組んだポートフォリオは9.83倍まで伸ばした。

 一方、全額を日経平均に投資した場合は運用開始時に比べて資産総額が2.09倍にしか伸ばせなかった。予測モデルは、日経平均に比べて最大で6倍以上の成績を収めたわけだ。

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AI 株式ポートフォリオ診断を利用した場合と、日経平均に投資した場合をそれぞれ想定したテスト結果。AI ポートフォリオ診断では、毎月末にポートフォリオを再構成し、毎年1月と7月に予測モデルを更新している。日経平均よりもかなり良い成績を上げている

 このテストでは、推奨銘柄をすべて同じ金額で保有する。流動性が低い銘柄を避けるため、市場全体の中で売買代金が下位20%の銘柄は組み入れない。という条件で実施したが、実際のサービスでは、データが十分に貯まっていない上場1年以内の銘柄は避けるという。期待収益のスコアは日次で更新し、データが貯まってきたら、年に数回再学習を実施して、予測モデルを更新するという。

 そして、今回完成させた機械学習のアルゴリズムは、突発的な事件にも追従しているという。前出のテスト期間中には、2015年チャイナショックや、2016年のイギリスのEUからの離脱決定といった、金融市場に大きな影響を与える事件もあったが、資産総額を急激に減少させることなく運用している。この点について浅原氏は「突発的な事件が起きても、金融市場は事件発生からやや遅れて反応する。このような特性を利用して損失を防いだのではないか」と分析している。

 そして浅原氏はAI 株式ポートフォリオ診断について、機械学習を繰り返して、株価分析に熟練した人間と同等の成績を出せるようになったと考えているとも語った。そして、あらゆる銘柄の期待収益スコアをすぐに取り出せることから、人間よりも優れている点もあるという。株価分析のベテランでも、すべての銘柄をすぐに思い出せるわけではない。思い出せていない銘柄に、顧客にちょうど合う銘柄があるという可能性もあるということだ。

 たとえAIでも、未来の株価を正確に予測することは不可能だ。しかし、予測精度がかなり高くなっていることも事実だ。そして証券業界の他社も同様のサービスを開発し、投入してくるだろう。証券会社をAIの予測精度で選ぶということも、近い将来には当たり前になるのかも知れない。

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