スマートロックに月額300円から使えるサブスクリプションモデル「bitlock LITE(ビットロック ライト)」が登場した。発売したのは、次世代鍵の企画、開発、運用を手がけるビットキー。3月14日、披露パーティを開き、特許出願済みの独自のセキュリティ面や今後の展開などについて話した。
ビットキーは、2018年5月に設立。ID認証、権利移転、本人認証などのデジタルプラットフォームをキーテクノロジーとし、Tobira(不動産)、モビリティ、スマートID、メディカル・ウェルネス事業への展開を計画する。アーリー期の今、重視しているのがtobira(不動産)事業になるという。
bitlock LITEは、ビットキー初のプロダクト。4月1日に発売を予定しているが、3月13日からMakuakeでクラウドファンディングを実施しており、目標金額100万円を上回る支援を集めている。
月額300円~利用できるサブスクリプションモデルであることが最大の特徴で、初期費用は不要。将来的には、住宅だけではなく、ホテルなどの宿泊施設、貸し会議室、オフィスなどBtoB向けに販売するほか、配送業者や家事・買い物代行企業などの各種サービス事業者との連携も見据える。
ビットキー 代表取締役CEOの江尻祐樹氏は「人間は鍵を使うことで、安心を得ることができる。しかし、鍵をこじ開け、安心を脅かす悪人も存在する。その度に鍵は進化し、改良を繰り返してきた。そうした先人の知恵とブレイクスルーを組み合わせ、究極の鍵を開発することで、もっと安心を提供したい」とビットキーの基本姿勢を話す。
ビットキーが開発したbitlock LITEは、スマートフォンから鍵の開け締めができるスマートロック。ドアに付属のシールを貼るだけで、自宅の玄関ドアに取り付けができ、特殊な工事は不要。スマートフォン以外にも施解錠ができる専用デバイス「bit button」を用意するほか、今夏発売予定の別売のカードリーダーを使ってICカードなどにも対応する。
「今までのスマートロックは2~5万円ほどの価格で、高価格が最大の導入障壁だった。bitlock LITEは多くの人に使っていただきたいという思いから、価格の限界にチャレンジ。月額300円~を実現した」(江尻氏)とサブスクリプションモデルを採用した理由を話す。
製造は、中国深センに工場を持つジェネシスホールディングスが担当。試作から量産支援までを担い、ハード面をサポートする。「ビットキーが得意なのはソフトウエア開発。ハードの部分をお手伝いすることで、サービスの開発に集中してもらえる」とジェネシスホールディングス 代表取締役社長の藤岡淳一氏が話す通り、パートナー企業との連携により、サブスクリプションモデルの成功を目指す。
今後は、時間等を限定することで、鍵の施解錠ができるワンタイムキーを発行することで、不在時に家事代行、宅配、クリーニングなどのサービスを受けられるインフラの整備を進める。すでに家事代行サービスのCaSy(カジー)と提携し、「不在時の家事代行サービス」に関する実証実験の実施について合意。CaSy 代表取締役 CEOの加茂雄一氏は「不在時の家事代行サービスを希望する人は2年前の3%から今は20%にまで増えている。その理由は時間の有効活用ができるから。顔を合わさず使える点も利用者から好評をいただいている。物件によっては物理的に鍵のやりとりをしているケースもあり、スペアキーを用意するのにコストがかかるほか、預けることに抵抗感を抱くケースもある。この課題を解決するようなスマートロックによる家事代行サービスを一緒に作りたい」とコメントした。
ビットキーでは、オンライン環境を必要とするのは、利用者のスマートフォン端末までで、スマホ側にいつ、どこに、誰がといった鍵の情報を送る仕組み。スマホとbitlock LITEはBluetoothなどで通信しているため、オンライン上でのハッキングができず、高いセキュリティを実現できるという。鍵の情報を送る際もすべて暗号化されているという。これらのセキュリティは特許出願済みで、ビットキー独自の仕様になっている。
すでに不動産会社との提携も進めており、会場には不動産売買、マンション開発、賃貸、建物管理などの事業を担うシーラ 営業部取締役営業部長の国本隆宣氏も登場。「シーラが運営、管理する物件にビットキーのスマートロック、CaSyの家事代行サービスを組み合わせたサービスの提供したいと思っている」と連携を視野に入れていることを明らかにした。
江尻氏は「宅配やクリーニングの不在時サービスはすごく価値が高い。鍵をきっかけに日常を少しだけよくするようなサービスを提供したい」と今後について話した。
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