NTTドコモ、運営側と起業側が共存して取り組む新規事業創出プログラム「39works」 - (page 2)

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リーダーシップも特殊能力もない普通の会社員が社内起業家になるまで

 続いて、39worksを利用して事業化までこぎつけた社内起業家側の立場から、サービスイノベーション部 第1サービス開発担当主査の大西可奈子氏が登壇。なぜ雑談対話サービス「かたらい」のプロジェクトリーダーをやることになったのかを語った。

NTTドコモ サービスイノベーション部 第1サービス開発担当主査の大西可奈子氏
NTTドコモ サービスイノベーション部 第1サービス開発担当主査の大西可奈子氏

 大西氏は2012年にNTTドコモへ入社。大学時代から開発志向で、小さいころから鉄腕アトムを作りたいと思っていたそう。入社後すぐに雑談対話技術の開発を開始。NICT(情報通信研究機構)に出向したまま研究を続け、2018年に39worksで「かたらい」のプロジェクトリーダーになる。

 「そもそも“社内起業家”という言葉から、強いリーダーシップを持ち、経験豊富でビジネススキルも高く、スーパーマンな人しかできないというイメージを抱くかもしれません。でも私も社内起業家。リーダーシップも特殊能力もなく、いたって普通の会社員です。ただ、ほかの人とちょっと違うのは、ずっと対話システムをやってきたこと。普通の人でも、1つだけ誰よりも好きなものがあると、それが起業家になるチャンスになるんです」と大西氏は語り、企業の中に多く存在するであろう、こうした人たちを引っ張り上げて、企業内起業させることが重要ではないかと説いた。

 大西氏のように、対話システムに関しては長けていても、リーダーシップもなく事業計画も作ったこともないとなかなか起業しようとは思えない。しかしフェーズに応じてスキルの足りない部分をサポートしてくれる39worksがあれば、営業経験豊富な人がプロジェクトに入ったり、パートナー起業や戦略コンサルティングパートナーの助けも加わって、チーム戦のように進められる。これなら気軽にスタートしてもいいという気持ちになれるという。

企業内起業は、スキルがなくてもサポートによりチームで進められる
企業内起業は、スキルがなくてもサポートによりチームで進められる

 実際に大西氏が起ち上げた、かたらいサービスが事業するまでの過程を紹介しよう。“人が抱える寂しさを減らす”を目標に、人とAIが普通にコミュニケーションできる環境を目指し、2012年から雑談対話の研究を開始。2013年には雑談対話APIを公開したが、ビジネスは考えていない状態だった。ところが、APIを使ってもらえたため、商品にも使えるのではと思い、内部でロボットやアプリをこっそり開発していたという。

雑談対話サービスは、シナリオがなくても答えられるシステム
雑談対話サービスは、シナリオがなくても答えられるシステム

 ただ、当時はR&Dイノベーション本部だけだったため、出口がなく、39worksができたことによってようやく出口ができた。これにより2018年5月に39worksに参加。わずか5カ月後の10月にサービスを開始した。

 当初はこの技術の良さが伝わりにくく、売上面でのメリットも見えなかったため、幹部ウケせず、苦労した部分もあったそうだが、サービス開始後、想定していたKPI以上に数字が取れていることがわかると、幹部の態度が一変。現在は幹部の理解もあり、さらなる飛躍ができると確信しているという。

 39worksの助けられたこととして大西氏は、「まず熱意を理解してもらえたこと。そして自ら事業を主導できることにやりがいを感じたこと。失敗しても成功しても自らの肌で感じられることはうれしいので、起業に対して口出ししたくなる人もいると思うが、温かい目で見てもらいたい。またサポート体制が充実していること。わからないことだらけでも安心してできるので、どんどん仲間を増やしてチャレンジできた。あとは、失敗が称賛される風土があるので、後ろを気にせず前に進むという空気感があるのはありがたい」と語った。

大西氏が感じた39worksのメリット
大西氏が感じた39worksのメリット

 大西氏の視点に対して笹原氏は「運営側としてはリスクは最低限見なければならないが、事業を受け入れられる幅は広げておく必要がある。また、プロジェクトとしては予算もあるので、いつまでもサポート体制が充実しているとは限らないことは理解してほしい」とサポートへの頼り過ぎは禁物であると釘を刺した。

 NTTドコモという大企業だからこそ、できる部分もあるかもしれないが、いかに小さく始められ、失敗を共有できるかに力を注ぐドコモのチャレンジは、新規事業創出の参考になる。

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