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VRIコラム

2019年 広告業界予測

香川晴代(アンルーリージャパン)2019年02月28日 10時00分
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 2018年は動画広告の普及がさらに進み、アメリカでは動画広告の80%がプログラマティックバイイングになったと予測されています(eMarketer)。世界的にフェイクニュース、フェイク広告への懸念も広がりました。

 当社にはビジネスに重要で多様な知見を得られる仕組みがあります。世界の大手広告主、広告会社と弊社間で昨年設立したU7(アンルーリー社クライアント評議会)もその一つです。U7は、注目に値するトレンドが何なのかを判断する上でも重要な役割を果たしています。今日はその知見、インサイトを披露します。

 2019年には、業界でどのような変化が起きるのでしょうか?

1、理解され始めた個人データの価値

 GDPR(EU一般データ保護規則)施行と、ケンブリッジ・アナリティカ社問題を受けて、人々は自分達の個人データの価値に目覚め始めました。DatawalletやPeople.ioのようなオンライン上の個人情報を消費者自身が管理でき、データ提供の対価として個人が報酬を受け取るサービスが登場しました。

 IABは、広告を見て報酬を受け取るオプトイン型価値交換広告モデルの効果的な使い方をまとめたplaybookを発行しました。

 また、OpenX社の調査によると、マーケターの90%がパーミッション付き(オプトイン型)広告へのエンゲージメントは動画広告で高く、バナーなどを上回るパフォーマンスが出ると答えています。

 2019年には、消費者が報酬を受け取る代わりに広告を見て、その効果を評価し、広告によるパブリッシャーのマネタイズに積極的に関わりを持つようになるでしょう。

2、感情が人間の行動に最も影響を与え、ビジネスの結果を生む

 2019年は、「感情」が人間の行動に最も影響を与える点について、マーケターの理解が進む年になるでしょう。

 消費者の広告に対する感情反応がビジネスの成果と相関性があることが明らかになってきました。広告主企業は、長期的なビジネスへの影響から(例えば収益率)、短期的な目標達成(例えば、販促)まで、望む成果に直接結びつくような広告コンテンツ作りと最適化を求めています。

 これは、人々の感情を活用したターゲティング広告が、具体的で測定可能なビジネスの結果をもたらすことも意味しています。

 当社が独自に保有する感情データによると、世の中には見る人が幸せに感じる動画広告が増えています。2018年に実施した50万人を対象とする消費者心理調査の結果では、動画広告を見た人がポジティブな感情を抱く率は前年より高まっていました。動画を見て視聴者が感じた「幸せ」は7%から10%に、「インスピレーション(閃き)」は5%から8%に、「感嘆」4%から7%に、そして「温かみ」は5%から6%へと上昇しました。

 2019年はブランドにとって人々が望むものを提供するだけでなく、世界の気分を上げる、大きなチャンスの年です。

3、良質なコンテンツへのリスペクト

 2019年、メディアビジネスにおいてはサブスクリプション(定期購読)モデルが伸びるでしょう。

 世界のプレミアムなニュース媒体では、継続購読料が収益の70%を占め、デジタルメディア市場の成長の半分以上をサブスクリプションモデルが占めると予測します。

 これは、GDPR施行後の世界では、パブリッシャーは真のファーストパーティーデータにアクセスできる数少ない事業体であるためです。価値あるコンテンツに対する対価とは何なのか?がより明確になり、消費者が良質なコンテンツにお金を払うことに前向きになるでしょう。

4、動画と買い物

 消費者は、動画と買い物が大好きです。米国の調査によると、2018年にはミレニアル世代の80%が買い物に動画を参考にすると答えており、ショッパブルビデオ(ウェブサイトなどに遷移することなく、動画上で直接、商品を購入できる)の有効性を示しています。

 当社では昨年、Wootag社と協業してショッパブルビデオの広告配信を多数実施しました。世界最大の食品メーカーのキャンペーンでは、ショッパブルビデオのクリック率は市場標準を92%、インタラクション率は25%を上回りました。

 2019年、ショッパブルビデオが動画評価のKPIに変化をもたらします。これが定着するのにしばらく時間がかかるとは思われますが、ショッパブルビデオが生み出す売り上げが動画広告の新たなKPIとなるでしょう。消費者は、幅広いインタラクティブ広告を経験するようになり、一方で、広告主は早急に、ユーザにとって便利で、機能性の高い広告を取り入れることが重要でしょう。

5、情報発見経路に変化

 2019年、人々の情報発見経路は大きく変化するでしょう。小売企業が人々の情報検索プロセスの間に割り込んだこと、つまり音声検索の普及によって、これまで主流であったサーチマーケティングは下降傾向を見せるでしょう。

 老舗ブランドが、無名の新しいブランドと予期せぬ競争を強いられ、また、AI搭載のレコメンデーション・エンジンが消費者の購入意思決定を司るようになります。

 音声検索が普及し、“ブランドを迂回する”までの影響力を持ちます。広告主企業はライトバイヤー(ライトユーザー)を取り込み、市場シェアを伸ばすのが以前に比べ困難になります。

 2019年には、良質なコンテンツを保有するパブリッシャーが、データとテクノロジーを駆使して広告費やサブスクリプションフィーの獲得を進める年となると予想します。


◇ライタープロフィール
香川晴代(かがわ はるよ)
アンルーリージャパン代表取締役
2002年よりオーバーチュア(現ヤフージャパン)、アマゾンジャパンにて、日本での広告事業立ち上げに関わり、広告営業、事業開発部門の管理職を歴任。
フェイスブックジャパンにて執行役員として勤務した後、動画マーケティングの大きな可能性に惹かれ、2015年6月に動画アドテクノロジのアンルーリーへ。
アンルーリーは、創業以来11年間、3兆ビューの動画データを保有し、さらに動画に対する200万人の消費者心理データを蓄積。このデータを活かして、TAG Tier1の認定を受けたブランドセーフな動画配信ネットワークの運営と、ターゲットの心を動かす動画コンテンツ制作のコンサルテーションを提供しています。
Ad Ageが選ぶ広告主100社の91%がアンルーリーを利用しています。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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