自分がいかに無知なのかを思い知り愕然とする。「なんとなくそんなイメージ」で世界のことを捉えていたことに、本書を読むまで気づいていなかったからだ。「知らないということに気づいていない」としても、「だったら知らないままでいい」ということにはならない。自分が長年抱いていた思い込みを、データという事実で崩していくのは、少し勇気のいることだが、本書では、その思い込みをなくしていく過程がとても楽しいものになる。
目次を見るだけでも、いかに人は、自分も含めて思い込みが激しいものなのかを知ることになる。「世界はどんどん悪くなっているという、ネガティヴ本能」「今すぐ手を打たないと大変なことになるという、焦り本能」など、事実を正しく認識することが重要であるのに、冷静さを欠くとどんなことになるのかまで分かる。
しかし落胆したり自己嫌悪に陥る必要はない。本書は、興味深いチャートやデータが示されているのはもちろん、面白く読めるように工夫がこらされている。シンプルな問いに答えていくうちに、思い込みが覆されていくのはゲームのようであるし、著者の経験談もドラマチックで引き込まれ、読み終わる頃には、目の前に新たな世界が広がる楽しみがある。
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