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EUの新著作権指令はインターネットを破壊する

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部2019年02月25日 07時30分
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 お気に入りの音楽動画をシェアするのは好きだろうか?Donald Trump大統領の動向を追うためにTwitterをチェックするだろうか?Facebook上の興味深いストーリーにリンクすることはある? 欧州連合(EU)の著作権指令の最新版が欧州議会で可決されれば、こうしたことはすべてできなくなる。この指令はわれわれが知っているインターネットを殺すことになるだろう。

毒を持つ2つの条項

 著作権指令には、第11条と第13条という、2つの有毒な条項がある。前者は、ニュースアグリゲータサイトが記事から「1単語あるいはごく短い引用」以上を流用する場合、その記事の公開元への対価支払いを義務付ける。GoogleニュースHuffPostMSN Newsなどのような大手サイトがこの条項の主な標的だが、あらゆるウェブサイトがこの条項に抵触する可能性を持つ。

 例えば、映画レビューサイトのRotten Tomatoesは、リンクしているすべての映画のすべてのレビューについて対価を支払わなければならなくなる。あるいは、Marvel Studioのスーパーヒーロー映画情報にリンクするウェブサイトを公開している人も対象だ。RedditでMarvelの最新映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」の記事へのリンクをシェアしただけでも、困ったことになるだろう。

ウェブはリンクで成り立っている

 私は言いたい。ウェブが、Archie、Gopher、WAISなどの先行サービスをすぐに追い越せたのは、他のコンテンツに簡単にリンクできるという特徴のおかげなのだ。ニュースアグリゲータから金を集めようという必死の試みで、EUはウェブの土台を掘り返してしまうだろう。

 もちろん、Googleはリンク税を支払えるだろう。だが、同じことができる小規模サイトはいくつあるだろうか? それに、読めるニュースをGoogleに決めてもらうことをあなたは本当に望んでいるのか? Google自身でさえ、そのアイデアに否定的だ。Googleのニュース担当バイスプレジデント、Richard Gingras氏は最近、公式ブログで次のように語った。

 「実際、Googleのような企業は勝者と敗者を選ぶ立場に立つことになる。(中略)第11条が施行されれば、大手メディアが業界全体のビジネスモデルを設定するようになり、確実に意見の多様性を損なうだろう。すべてのメディアが平等に恩恵を受けるわけではない」

 あるいは、Googleはかつてスペインがリンク税制度を施行した際にこの国で行ったことを繰り返すかもしれない。同社はGoogleニュースをスペインから引き揚げたのだ。Googleが儲からないと判断するのに、誰が儲かると思うだろうか? 疑わしいものだ。私はジャーナリストなので、記事の対価は欲しい。だが、第11条はニュースメディアを助けるよりは傷つけるだろう。

 だが、第11条よりも第13条の方がさらに悪い。著名ブロガーでジャーナリストのCory Doctorow氏は電子フロンティア財団(EFF)のウェブサイトに寄稿した記事で次のように述べている。

 「第13条の最終案では、3年以上存続するか年額1000万1ユーロ(約13億円)以上の収益を上げているプラットフォームあるいはサービスは、一瞬でもユーザーが著作権侵害コンテンツを投稿しないようサービスを管理する責任を課される。これを守るのは不可能だ。次善の策としては、数億ユーロを費やして自動著作権フィルタを構築することだろう。

対象は欧州の企業だけではない

 欧州に読者を持つ企業であれば、すべてがこの条項の対象になる。

 一方米国では、1996年の情報通信改革法(Telecommunications Act of 1996)の一部である通信品位法(Communications Decency Act)の第230条が、「セーフハーバー」条項によってインターネット上での言論の自由を保証するのに役立っている。

 「双方向のコンピュータサービスにおけるいかなるプロバイダーやユーザーも、第三者によって提供された情報について、発行者や発言者として扱われることはない」

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