EUの新著作権指令はインターネットを破壊する - (page 2)

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2019年02月25日 07時30分

 第13条はその反対だ。あなたがもし著作権のあるコンテンツを商業サイトに投稿すれば、そのサイトがあなたの投稿のせいで提訴される。例えば、あなたがかわいい猫の画像をInstagramPinterestに投稿したとしよう。その画像の著作権について誰かが抗議すれば、サイトは提訴される。

 この状態で、写真共有サイトは生き延びられるだろうか? 私は難しいと思う。大手は生き残るかもしれないが、小規模サービスは死滅するだろう。

 他の例をみてみよう。Twitchのようなサービスで自分のゲームプレイを実況するのが好きな人々がいる。トッププレーヤーにとってはこれは道楽以上の意味がある。彼らはゲーム実況で年間100万ドル(約1億1000万円)以上稼いでいるのだ。第13条の下では、ゲーム実況は制限され、あるいは禁止される可能性がある。Twitchの最高経営責任者(CEO)、Emmett Shear氏はユーザー宛てのメモで、第13条に抵抗するよう呼び掛けた。

 「第13条はアップロードされたコンテンツによる著作権侵害の責任をTwitchに負わせるので、TwitchはEU圏内の居住者がアップロードしたすべてのコンテンツをフィルタリングし、監視しなければならなくなるかもしれない。そうなれば、皆さんはコンテンツの著作権所有情報を明示するか、複雑な著作権法を順守していることを証明するための手続きを踏まなければならなくなる」

著作権フィルタ

 著作権フィルタの性能はどのくらいだろうか? あまり芳しくない。欧州議会議員で著作権指令に反対しているJulia Reda氏は次のように語る。

 「アップロード監視ソフトウェアは、著作権侵害コンテンツとパロディなどの合法的コンテンツを区別できない。またそうしたソフトは頻繁に誤作動する。その結果、合法的なコンテンツまで排除されてしまう。それに、こうしたフィルタは監視技術なのだ」

 著作権フィルタもまた、完璧ではない。EFFに9月に掲載された記事でDoctorow氏は次のように書いた。

 「最も有名な著作権フィルタはYouTubeの「Content ID」システムだろう。6000万ドル(約66億円)掛けて構築したこのシステムは、動画の音声トラックのフィルタリングで内容をカテゴライズする。この最善のシステムでさえ、合法的なコンテンツを違法とみなしてしまう。例えば、米航空宇宙局(NASA)オリジナルの火星探索機の動画をブロックされた。自分の演奏動画をブロックされたクラシックのピアニストもいる。鳥のさえずりがひっかかったこともある。学術団体のカンファレンスの録画が、開催されたホールで昼休みに流れた音楽のせいで、すべて音声なしで公開されたこともある。無音の動画すら著作権を侵害する可能性がある

著作権トロール

 「著作権トロール」が、実際には所有していない作品について、ウェブサイトとユーザーの両方にたかる可能性もある。著作権トロールの1つであるRightHavenは、ネバダ州連邦地裁で200件以上の著作権侵害訴訟を起こした。すべてLas Vegas Review-Journalの記事をネット上に投稿した個人が相手だ。

 RightHavenは敗訴後に廃業した。だが、第11条が施行されれば、似たような著作権トロールが大量にこの手口を使うだろう。あまりにもお手軽だ。

どうしたらいのだろう?

 インターネットが大切ならば、立ち上がろう。これらの厳格な法令に縛られないよう注意しよう。2つの条項はまだ施行されていない。指令に反対するこちらの署名運動に参加することで、法令化阻止に協力できる。あるいは、もしあなたがEU圏の住人であれば、欧州議会議員に呼び掛けよう

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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