2月13日に文化庁の文化審議会著作権分科会が発表した、私的利用を目的とするダウンロードが違法となる範囲を見直し、著作物全てを対象にすると提言した報告書。これに対し19日、弁護士や大学教授などの有識者らによる連名で、緊急声明が発表された。
文化審議会によるダウンロード違法化範囲の見直しは、横行する海賊版サイトへの対策が危急を要するものとして、2018年から検討が進められてきた。一方で、個人による創作活動や情報収集の自由を阻害するとして、クリエイターやネットユーザーからは批判の声が上がっている。
今回の緊急声明では、法改正の前提となる立法事実や、法改正が国民生活に及ぼす影響について十分な検討がなされていないと指摘。拙速な法改正は「情報収集の自由に対して過度の萎縮効果を及ぼすとともに、著作権制度の妥当性について国民の信頼を失わせるものともなりかねない」とし、さらに慎重な議論を重ねる必要があると提言した。
また、海賊版対策の緊急性を考慮して法改正へ向けて検討する場合には、「その法改正は、あくまで被害が深刻な海賊版への対策に必要な範囲に限定されるべき」とした。国民の自由に対する過度の制約を避けるため、「原作のまま」および「著作権者の利益が不当に害される場合に限る」と要件を定める必要があるとし、さらに刑事罰については悪質な行為に限定するなどの対応が求められると提言した。
なお、声明公表時点での賛同者は84人と1団体となっていたが、20日10時30分の段階で賛同者6人が追記され、計90人と1団体となっている。
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