大手スパイスメーカーのMcCormick & CompanyとIBMの提携により、人工知能(AI)が夕食の決め手になるかもしれない。数年にわたってフレーバーと食品を共同開発している両社はこのたび、研究開発の成果となる商品を発売すると発表した。
IBMとMcCormickは、知覚科学や消費者の好みについての何億ものデータポイントと数年分の研究に基づいたAIシステムを開発した。これにより新たなフレーバーの組み合わせを予測し、フレーバーの開発者がより速やかに新たなレシピを考案するのを支援している。
McCormickにとって初となるAI対応の製品プラットフォーム「ONE」は、一皿料理の調理ミックスのシリーズと共に、2019年の立ち上げを予定している。ではAIボットはどんなフレーバーを考え出しているのだろうか。現在予定されているのは、「Tuscan Chicken」(トスカーナ風チキン)、「Bourbon Pork Tenderloin」(豚ヒレ肉のバーボン風味)、「New Orleans Sausage」(ニューオーリンズソーセージ)といったフレーバーだ。タンパク質や野菜で風味付けされているこれらの調理ミックスは、米国で今春中に発売予定。
当然ながら、風味には複雑な要素が絡んでいる。人がいかに風味を感じるかにおいて、視覚、味覚、嗅覚のすべてが作用する。ONEのプラットフォームは、IBMのAIと機械学習(ML)の専門技術と、McCormickが40年以上にわたって独自に集めた知覚科学と味覚のデータを組み合わせて作られている。McCormickのデータには、同社の数十年分の製品調理法や、消費者の味の好みに関連する数百万のデータポイントが含まれている。
Whirlpool Corporationの「WLabs」部門による「Smart Countertop Oven」や、「June Intelligent Oven」など、AIはこれまでキッチンの他の場所に用いられてきた。いつかAIが食品科学のラボをすべて乗っ取ることになるだろうか。おそらくそうはならないだろう。いかなるコンピュータによる料理の創作が行われようとも、人間が味見する余地は少なからず常にあると考えたいところだ。
だが、これまでの成功例に基づいた新たなフレーバーを提案してくれるAIは、McCormickの開発者らが新たな調味料の考案プロセスを迅速化するのに役立っている。そしてそれにより、消費者に提示される選択肢が増え、毎晩の夕食がより充実したものになるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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