「人工知能(AI)は永遠の春に入ったと言えるのかもしれない」。そう語るのは、機械学習の権威Andrew Ng氏だ。
GoogleのAIチームの共同創始者であり、ディレクターも務めていたNg氏が、米ZDNetのインタビューに応じた。同氏はAI技術の使い方に関して記した、発表したばかりの「解説書」について語ってくれた。同書は、こちらから無料でダウンロードできる。
AI技術が、関心も資金も急激に落ち込むという、何度目かの「冬」の時代にまたしても入るのではないかという懸念を、Ng氏は一刀両断に切り捨てている。
機械学習、なかでもコンピュータの処理系を、脳における一連のニューロンモデルにゆるやかに模した、いわゆる「コネクショニスト」理論は、これまでも繁栄と衰退のサイクルを何度か経験してきた。Frank Rosenblattが「パーセプトロン」を提唱した1950年代後半に初めて花開いたが、60年代終わりには冷え込み、1980年代後半に再登場したときも支持を得られずに終わった。そして今また、数年前から突然、流行し出している。このように周期的に訪れる冷え込み期間は、「AIの冬」と呼ばれてきた。
現在のこの「復興期」も、また何年も冷え込み期間が続くのではないかという懸念が亡霊のようにつきまとっているが、Ng氏は「また冬に入るとは思わない」と答えている。
「これまでの初期の頃の流行は、実質的な価値もないまま登場していた。だが今は、AIが膨大な価値を実際に生み出している。私もこの目で目撃したし、システムを作りもした。収益が生まれているのも見てきた」(Ng氏)
「長い長い冬を経た後で永遠の春が到来する、というパターンをたどる業種は多い」。Ng氏は人類史における他の産業の営みについて、こう指摘している。「AIも、永遠の春に入ったと言えるのかもしれない」
実際にそうなることを目指すために、Ng氏の著した11ページのマニフェスト「The AI Transformation Playbook」では、AIを導入したいが、GoogleやFacebook、百度(バイドゥ)のようなリソースを持たない組織、とりわけ企業に向けてアイデアを提示している(Ng氏はバイドゥでチーフサイエンティストを務めたこともあり、実質的に同社の機械学習の取り組みを作り上げたのも同氏だった)。
「最高経営責任者(CEO)の多くは緊急性を感じている。インターネットの隆盛が多くの業種に破壊的革新をもたらしたのを目の当たりにしており、AIが、各業界に破壊的革新をもたらす次の波になると確信しているからだ」、とNg氏は語る。
「大方の予想とは違い、AIに関して企業を支援するというのは無茶なことではなく、その一連の流れについて、反復可能な教本のようにまとめることができる」(Ng氏)
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