単なる移動手段だった自動車だが、空調、ラジオなどのオーディオ機器、ナビゲーションシステム、多彩な情報やコンテンツを提供してくれるコネクテッドカーシステムなど、付随機能が増え複雑になった。ドライバーは運転に集中する必要があるため、ダッシュボードで複雑な操作をさせると危険だ。そのため、操作ボタンをハンドルに組み込むような工夫がなされている。
これに対し、Appleはシートベルトを操作用デバイスとして使う技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間1月29日に「AUGMENTED SAFETY RESTRAINT」(特許番号「US 10,189,434 B1」)として登録された。出願日は2016年9月19日。
この特許は、シートベルトの表面に何らかのジェスチャー操作を認識できるデバイスを組み込み、その操作を入力コマンドとして利用する技術を説明したもの。第1クレーム(請求項)では単に「seat」(シート)としているだけで、自動車に限定せず、さまざまなシートに取り付けられたシートベルトが対象となる。第2クレームで初めて自動車システムへの言及がある。また、自動車を想定した場合でも、対象は運転席のシートに限定していない。
シートベルト表面に対する操作は、自動車へのコマンド送信のほか、各種電子デバイス、電話、ナビシステム、エアコンなどへのコマンド送信に利用される。シートベルトに表示デバイスを組み込み、情報を表示するアイデアも記載されている。
シートベルトにLEDやバイブレーターを組み込んでおくと、操作に対するフィードバックを光や振動で返すことが可能。第6クレームには、ソーラー発電パネルなどのエネルギー生成デバイスを搭載しておき、電力などをシステムへ供給する技術の説明がある。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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