春登場の「Oculus Quest」を体験--これはVR界の「Nintendo Switch」だ - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2019年02月01日 07時30分

フィットネスのキラーデバイスとなる可能性も(家具にぶつからなければ)

 運動系のゲーム(任天堂のソフトに近い感覚のテニスゲームや、モーションコントロールを見事に応用したPC/PS4向けゲーム「SUPERHOT」の移植版など)をいくつかプレーした筆者は、すっかり息が上がってしまった。ものをよけ、かがみ、動き回っていたからだ。モバイル以外のVRシステムでも、「Beat Saber」のような減量効果を期待できるフィットネスゲームが既に登場しているが、6自由度の動きが加わり、セットアップも簡単なOculus Questなら、フィットネスは素晴らしいキラーアプリになる可能性もある。Oculus Questでどのくらい汗をかいたら減量効果があるのか分からないが、ぜひやってみたいものだ。

 Nintendo Switchには、最近出た「Fitness Boxing」(日本向けは「Fit Boxing」)をはじめ、フィットネスゲームがいくつか揃っている。だが、完全装着型のOculus Questのほうが使いやすいように思われるので、PCや家庭用ゲーム機で既にヒットしているタイトルが次々と移植されることになるかもしれない。

 Oculus Questでは動きが完全に自由になるが、「Guardian」という、室内に仮想の境界線を張りめぐらした保護ネットのようなものを作り出しておけば、壁や家具に近づきすぎたときに警告してくれる。といっても、Oculus Questが実際に室内の物体を「見て」いるわけではないので、誰かがイスを動かしたり、犬が侵入してきたりした場合は、どうしようもない。だが、Oculus Questの名誉のために言っておくと、モーションコントロールが優秀すぎるために、次のようなことがあった。コート1面を使うテニスのデモで、ボールを打とうとして走り出した筆者を、何かに激突する前にFacebookの社員が慌てて止めてくれた。青いグリッドを無視してボールを追いかけてしまったのだ。皆さんは真似をしないように。

 トラッキングはほぼ完璧で、コントローラがヘッドセットのカメラの視界にないときでも機能した(モーションコントロールが錯覚の映像を補完し、コントローラを追跡する)。コントローラは、PCに接続した「Oculus Rift」の「Oculus Touch」のコントロールに近く、操作しやすいボタンとトリガーが備わっている。

 一方、ちょっとした動作の問題も何回か発生したが、両手を顔に近づけたときに顕著だった(トラッキングが機能するには、2つのコントローラがヘッドセットから一定以上離れている必要がある)。「Face Your Fears 2」で、クモだらけの家に入ったときのことだった。恐怖のあまり両手で顔を覆ったのだが、その手が消えてしまった。両手を顔から離してヘッドセットのカメラの視界内に戻し、コントロールトリガーを押すと元に戻った。SUPERHOTでも、手を動かしたときに何度か気になることがあった。

見たことのない可能性が広がる未来

 もちろん、Oculus Questにも限界はあるだろう。ゲームの移植がどのくらい容易かは、今のところ未知数だ。Nintendo Switchが、インディーズゲームにとって決定的な拠点になったのも、移植性が要因のひとつだった。また、Oculus QuestにはQualcomm「Snapdragon 835」チップが採用されているが、最適化されたOculusのヘッドセットを使うときに、チップ性能の真の限界がどう感じられるかも分かっていない。もっと高度なスタンドアロン型VRハードウェアもこれから登場するが、そのなかにはグラフィック性能の高い「Snapdragon 845」プロセッサとアイトラッキングを搭載するものもある。それに、モバイルの高性能VRヘッドセットというだけで、いまだにVR懐疑派が大半を占める消費者層が、すぐに飛びついたりするものだろうか。

 筆者が特に注目しているのは、完全に制約から解放されたVRと、それがこれからの体験にどんな意味をもつかということだ。観客全員がヘッドセットを装着して楽しむ没入型の劇場やゲームセンターが出現するかもしれない。全員がVRの中で運動に励むスポーツジムなども出てきそうだ。あるいは、博物館の展示が簡単になるかもしれないし、教育現場のVRも、これまでの簡素なヘッドセットではできなかった授業にまで広がる可能性がある。

 Oculus Questは、その手のデモにおあつらえ向きで、もっと多くのことを体験できる日が待ち遠しい。これまで筆者が試してきたPC版やゲーム機版のどんなVRにも劣らない。Nintendo Switchがやったように、「家庭用ゲーム機」と「モバイル」の垣根をとっぱらう存在だ。その一点だけでも、Oculus Questは近年のVRにおける最大の変化と言えるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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