社会的に優れた発明や発見をした人々をたたえる目的で活動している非営利団体の全米発明家殿堂(National Inventors Hall of Fame:NIHF)は、2019年の殿堂入り対象者として、IBMのIBMフェローである浅川智恵子氏を選んだ。同氏の研究チームが開発した視覚障がい者向けウェブページ読み上げ技術「Home Page Reader(HPR)」を評価したもの。
HPRは、目の不自由な人々のインターネット利用を支援するため、ウェブページの内容を解析し、合成音声で伝える技術。マウスでなくテンキーによる操作が可能で、ウェブページ上のテキストやフレーム、画像、リンクなどの情報を音声で出力する。シンプルな情報にとどまらず、クリッカブルマップ、テレビ番組表のような複雑な構造のテーブルといった情報も音声化できるという。米国特許「SYSTEM AND METHOD FOR INFORMATION ACCESS」(特許番号「US 7,197,462 B2」)も取得済み。
自身も視覚障がい者である浅川氏は、目の不自由な人々の行動を手助けする技術の開発に以前から取り組んでいる。たとえば、視覚障がい者が1人で外出やショッピングできるようにするスマートフォン用アプリ「NavCog」を開発し、東京の日本橋エリアで実証実験をするなどした。
IBMによると、IBM関係者の殿堂入りは浅川氏で23人目だそうだ。ちなみに、IBMは米国の特許取得ランキングで26年連続1位を獲得している。
なお、殿堂には、脂質降下薬スタチンの開発で遠藤章氏、青色LEDの開発で中村修二氏も入っている。
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