音声ナビが日本橋を道案内--日本アイ・ビーエムらスマホ、ビーコン組み合わせ実証実験

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 日本アイ・ビー・エムと清水建設、三井不動産の3社は、東京・日本橋室町エリアにおいて、スマートフォンで利用できる音声ナビゲーションシステムを活用し、来街者を店舗や施設まで案内するシステムの実証実験を開始すると発表した。

 2月8~28日の3週間に渡り、「コレド室町1~3」を結ぶ街区や、地下鉄銀座線三越前駅地下歩道の一部、江戸桜通り地下歩道をあわせた合計約2万1000平方メートルを対象に実施する。このエリアは、国土交通省が設定した首都圏広域地方計画38プロジェクトの1つである日本橋地区に含まれているという。

 清水建設と日本アイ・ビー・エムが、2015年2月から共同で開発してきたアクセシビリティ技術を活用したビーコンにより、約1メートル単位の高精度で位置情報を取得。屋内外で利用することが可能な音声ナビゲーションシステムとコグニティブ技術を組み合わせたスマホアプリを利用して、視覚障害者モード、外国人(英語)モード、車いす利用者モードを用意して、それぞれに適した誘導方法で、目的地まで案内する。

車いすモードでの利用の様子
車いすモードでの利用の様子
  • 音声ガイドに沿って目的地に向かう

  • 外国人モードは英語でナビゲーション。技術的には多言語対応が可能だ

  • お勧めの店舗を紹介する様子


清水建設 執行役員 設計本部副本部長の大西正修氏

 清水建設 執行役員 設計本部副本部長の大西正修氏は、「高度測位技術による知的活動支援サービスを実装し、自然言語店舗検索情報提供サービスによるユーザー体験、位置情報サービス音声ナビによるアクセシビリティを実現するのが狙い。スマホアプリを利用することで、専用機器を使わない利便性や汎用性も特徴である。実証実験を通じたユーザー評価により、サービスの課題や技術課題を抽出し、システムに反映する」という。

 清水建設は、位置情報取得のための屋内測位インフラの構築と、ナビゲーション用地図(空間情報データベース)の構築を担当。日本アイ・ビー・エムでは、屋内測位のための電波データ計測とアルゴリズム開発、カーネギーメロン大学と共同で開発しているコグニティブ・アシスタント技術を活用したナビアプリの構築を担当。三井不動産は、コレド室町1~3の場の提供のほか、商業テナントなどの関係者との調整や、店舗情報や施設情報を提供する。

高精度測位技術により建物内でも詳細な道案内

 2月8日からダウンロードを開始するスマホアプリ「NavCog」を使用し、音声対話で目的地を選択すれば、地図と音声によって、目的地までの案内を行う。建物の内部でも、右に曲がったり、左に曲がったりといった細かい指示が出るため、高精度の測位技術が生かされていることがわかる。「具体的には、9メートル進み、正面のエレベータを使って3階にあがる」、「扉の右に呼び出しボタン、点字あり」などの必要とされるきめ細かい情報が音声で提供される。

 視覚障害者向けモードでは、音声での案内が詳細になることや最も精度の高い測位技術を活用。車いすや外国語では、スマホの画面に表示される情報も利用できるようにしている。


スマホアプリでの位置表示の様子

 「今回の実証実験は、広いエリアを活用したことが特徴である。ビーコンは、5~10メートル間隔で、エリア内に224個を設置し、分岐にさしかかった、特に目的地に向かう方向を音声や矢印で示すターン・バイ・ターン方式を採用している。Wi-Fiに比べて、ビーコンを活用した方が電波が安定している。ビーコンは1個2000円、設置費用が1台あたり3000円、2年間で電池交換が必要になる。今後、コストの引き下げにも取り組む」(日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所の高木啓伸氏)という。

地下街に設置されたビーコン。落下防止などの工夫が行われている
地下街に設置されたビーコン。落下防止などの工夫が行われている

日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所 IBMフェローの浅川智恵子氏

 日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所 IBMフェローの浅川智恵子氏は、「視覚障害者には、本を読めないといった情報収集における課題と、1人では外出ができないといった課題がある。情報収集については、課題解決が進んでいるが、1人で外出するという点ではまだ課題がある。

 今回の実証実験は、視覚障害者が街歩きを楽しむことが狙い。楽しむことが大切であり、リアルワールド・アクセシビリティの課題を解決するものになる。子供の頃に見た人気テレビ番組の『高速エスパー』では、少年の肩に乗ったロボットがさまざまな情報を教えてくれた。これと同じようにものを実現したいと思っており、この実現に向けた一歩にもなる。


三井不動産 日本橋街づくり推進部事業グループ長の中原修氏

 IBMでは、コグニティブ・アシスタントの研究を進めており、AIなどを活用しながら、コンピュータが人をアシストする世界がやってくることになる。音声対話と高精度な測位情報を活用することで店舗にナビゲーションするバリアフリーな次世代の街を体験してほしい。2020年にはこうしたシステムが東京中に広がり、世界に向けて、バリアフリーの街づくりを発信できる」と期待を寄せた。

 三井不動産 日本橋街づくり推進部事業グループ長の中原修氏は、 「2016年春にリアルな街での実証実験ができないかと、2社から打診を受けた。日本橋エリアでは、官民と地元が協力した、都市型スマートシティの実現を目指しており、ICTによる先端的な仕組みを活用することは有用なものである考えた。日本橋室町エリアでの実証実験の成果を、他のエリアにも展開し、多くの人が楽しめるエリアを実現したい」と述べた。

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