Politicoは米国時間1月9日、モスクワを拠点とするサイバーセキュリティ企業Kaspersky Labが、Harold T. Martin III容疑者から2016年に受け取ったTwitterメッセージを提出していたとする記事を公開した。Martin容疑者は、米国家安全保障局(NSA)史上最大規模のデータ流出事件の1つを引き起こしたとされている。
NSAの契約社員だったMartin容疑者は、NSAのハッキンググループの極秘文書にアクセスできる立場にあった。同氏は、NSAのハッキングツールのデータを盗んだ罪に問われている。NSAのこれらのツールは流出後、ランサムウェア「WannaCry」を含む、大規模なハッキングに利用された。
12月付けで裁判所に提出された文書によると、Martin容疑者は、@HAL_99999999というアカウントでTwitterを利用し、「有効期間は3週間」と記して面会を求めたという。
文書によると、FBIは2016年8月、これらのTwitterメッセージを基に捜査令状を取得し、Martin容疑者の自宅を捜索することができた。有罪が確定すれば、Martinは10年以上服役する可能性がある。
Kaspersky Labは、本件に関するコメントを避けた。米司法省にもコメントを求めたが、回答は得られなかった。
Kaspersky Labは、米政府と緊迫した関係にある。米連邦当局と議会は、ロシア政府に協力していた疑惑があるとしてKaspersky Labへの警戒を強めている。
懸念を受け、オランダや英国をはじめとする複数の国がKaspersky製品の利用を取りやめた。これに対し、Kaspersky Labは、ロシア政府とのつながりを否定し、米国の情報機関は同社とロシア政府がつながっているという証拠をまったく示していないと主張した。
裁判の中で、Martin被告の弁護人は、これらのTwitterメッセージを根拠に出された捜査令状について、発行に至る適切な根拠がFBIにはなかったと主張した。
1月8日の審理でも、Martin被告の弁護人は、同氏から押収されたデジタル証拠のコピーを弁護の資料として用いたいが、これらの証拠が米国政府から提供されていないと述べた。
一方、9日付の書簡で、連邦地裁のRichard Bennett判事は、政府がコピーを提供する必要があるのは、Martin被告がこれらの機密書類を開いたと特定された場合に限られるとの見解を示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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