ワシントンDCの連邦巡回控訴裁判所への弁論趣意書の提出は11月末に締め切られており、口頭弁論は2019年2月1日に予定されている。判決が下されるのは早くても6月になるとみられているが、ここで判決が出ても訴訟が終わる見込みはないというのが、法律専門家らの見解だ。
「(判事3人による通常の)控訴裁判決を不服としてワシントンDC巡回区の控訴裁判事全員が参加する『大法廷』による再審理が請求され、さらに米連邦最高裁判所に上訴される可能性がある」とSchettenhelm氏は予想する。「すべてが終わるころには、2020年の米大統領選挙が大きな関心事になっている可能性が高い」(同氏)
民主党の候補者が次の大統領選挙に勝った場合は、FCCのトップも同党から送り込まれることになるだろう。そうなれば、2015年に施行されたネット中立性規則が復活し、すべてのプロセスが再開される可能性がある。
今回の訴訟には、2つの大きな争点がある。1つは、2015年に規則が適用されてから間もないうちに、ブロードバンドの区分を変更する十分な根拠がFCCにあったのかという点だ。そしてもう1つは、カリフォルニア州などの全米各州が独自に制定したネット中立性規則を無効にする権利を、FCCが持っているのかという点だ。
Schettenhelm氏によれば、裁判所がFCCを支持する判決を下す可能性は十分にあるという。今回のネット中立性規則撤廃のような、法律の解釈や実績の評価、方針転換に関しては、FCCに裁量権を認める強固な判例が過去にあるからだ。
一方、Public KnowledgeのHarold Feld氏をはじめとする専門家は、FCCにとって最も大きな影響がある法的争点は、州が制定した独自の規則を無効にできるとする規定をめぐるものになる可能性があると指摘する。FCCは、州法を無効にする必要がある理由として、インターネットサービスプロバイダーが50の州ごとに独自のネット中立性規則に対応するのは、あまりに煩雑だからだと主張している。
2018年には、30を超える州がネット中立性に関する州法の制定に向けた法整備を進めた。そのうちカリフォルニア、ワシントン、オレゴン、バーモントの4州は、ネット中立性を保護する法律を成立させた。また、ニューヨークなどの他のいくつかの州も、同様の法的規制を検討中だ。
各州は、FCCがブロードバンドへの規制を拒否してきたこと、およびそのような規則に関する権限を米連邦取引委員会(FTC)に移譲したことを理由に、自分たちの州で提供されているサービスに独自の規則を課すことができると主張している。
カリフォルニア州の新しい法律は、いわゆる「ゼロレーティング」の一部を違法と定めていることから、米国内でも最も厳しい規制とみられている。ゼロレーティングとは、AT&Tなどが採用している料金制度で、自社のストリーミングサービスについては、顧客のモバイルデータ使用量としてカウントせず、競合サービスについては使用量をカウントするというものだ。カリフォルニア州のこの法律は2019年1月1日に発効するはずだった。だが、同法をめぐって米司法省が同州を訴えた結果、FCCが各州の法律を無効にする権限を持つか否かという、より大きな問題に関して連邦控訴裁で答えが出るまでこの法律を施行しないことで、2018年10月に両者は合意に達した。
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