ネット中立性規則は廃止されたかもしれないが、開かれたインターネットを維持する方法に関する議論は、かつてないほど活発化している。
何カ月にもわたる採決と手続き上の動き、官僚的な動きを経て、Barack Obama前政権下で導入されたネット中立性の規則を廃止する米連邦通信委員会(FCC)の決定が、米国時間6月11日に発効した。
FCCのAjit Pai委員長はこの機会を利用して、開かれたインターネットに関する論説を米CNETに寄稿し、今回の動きについて、新たなネットワークへの投資を制限する規制を撤廃するために必要なことだったと擁護した。この規制は負担が大きいとPai委員長は説明した。しかし、これに批判的な人々は、同規則の廃止によってFCCのあらゆる権限が取り除かれ、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の規制がISP各社に委ねられることになると主張する。
FCCによる規制廃止は、将来的にインターネットの仕組みを変えてしまうおそれがある。ISPがトラフィックに優先順位を付けて、通常より高額な料金で高速レーンを提供することは技術的に可能だ。ただし、それがすぐに現実になる可能性は低い。
さまざまな人がネット中立性について意見を述べている。以下はその一部だ(コメントは適切な長さに編集されている)。
Edward J. Markey上院議員(民主党・マサチューセッツ州):
「6月11日、ネット中立性の廃止が正式に発効したが、戦いは決して終わっていない。インターネットを救う(#savetheinternet)決議案を下院で可決することはできないと主張している人々は、その決議案を上院で可決できないと主張していた人々と同じだ。そういう人たちのことは無視して、これからも戦い続けてほしい」
「ネット中立性に関して最終判断を下すのは、FCCではなく、米国民だ。ネット中立性規則を復活させる戦いはこれから切迫性を増していくだろう。われわれは下院で、FCCのひどい決定を覆す取り組みを今後も続けていく」
AT&Tの連邦規制関連担当バイスプレジデントのJoan Marsh氏:
「FCCの開かれたインターネットに関する命令が6月11日に発効したが、これからも変わらないことが2つある。まず、インターネットは今後も10日までと全く同じように機能し続け、この世代とその後に続く世代に情報とエンターテインメント、そして最も重要な、双方への安定したアクセスを提供できるようにする。2つ目は、オープンなインターネットに対する当社の約束が無効になることはないという点だ。顧客はこれを期待しており、その期待はかなえられるべきだ」
「1月、当社の会長は公開書簡を発行し、当社ネットワークでインターネットの自由を支持するという約束をあらためて表明するとともに、全てのインターネット企業に適用される、消費者保護を保証するInternet Bill of Rights(インターネット権利章典)を求めた。もし当社と同じようにこれに賛同する場合は、全ての企業とウェブサイトの指針となる一貫した規則を確立する、恒久的かつ超党派の法律制定に向けて協力してほしい」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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