日本の“ハード”とインドの“ソフト”を相補関係に--BENGALURU TECH SUMMITレポート - (page 2)

荒井宏之(チガサキベンチャーズ共同代表パートナー)2018年12月28日 09時00分

Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」

 次にJETROベンガルール事務所の遠藤氏が、日本政府が目指すべき未来社会の姿として提唱している「Society 5.0」について説明した。

 Society5.0は、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことを指す。

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 「Society 5.0で実現する社会は、IoTやAIによって、今までにない新たな価値を生み出すことで、これまでの情報社会(Society 4.0)で残存した、分野横断的な連携の不足や、人間の物理的な能力の限界にともなう課題や困難を克服することを目指す」(遠藤氏)。

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 また、遠藤氏は「経済発展に対してトレードオフとして山積した社会課題は複雑化しているが、日本は課題先進国として先端技術によるイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立し、世界に先駆けて模範となる未来社会を示すSociety 5.0の実現を目指している。そのためにも、日本にとってインドは重要なパートナーであり、技術や人材の交流を積極的に促進していきたい」と話した。

日本からのインフラ投資がインド経済の発展に寄与

 カーネギーインディアのR.K.ミスラ氏は、「日本とインドの間には、伝統的な文化の交流があり、政治的な紛争もなく、極めて友好的な関係にある」としたうえで、「日本は工業社会でありハードウェアに特化しているが、インドはそこのキャッチアップができない。また、インドは新しいエコノミーであり、特に一番高いハードルはインフラの不足。そこへの投資が必要であり、それは日本の貢献によって成立している」と語り、デリーメトロやベンガルールの下水設備などの例をあげながら、インドにとっての日本の重要性を述べた。

カーネギーインディアのR.K.ミスラ氏
カーネギーインディアのR.K.ミスラ氏

 また、「人口の多いインドではビッグデータのためのデータフィードが潤沢であり、AIが発展していく土壌がそもそもある。今後のテクノロジーの発展のためには、インフラだけでなく両国の技術領域での協力が必要不可欠である」とし、日本政府によるインド人エンジニア向けの20万件のITビザの発行を歓迎した。

 また、JETROの主催する「ベンガルール-東京 テクノロジーイニシアティブ スタートアップセッション」については、「インドと日本の起業家、投資家、または両国の政府を繋げる取り組みであり、インドからも100社のスタートアップが参加している。技術協力を進めるための足がかりにしたい」と期待を寄せた。

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