ビットコインが誕生して10年余りが経つ中、ブロックチェーンの技術をビジネスで活用できているところはまだ少ない。しかし、今後私たちの生活を変える技術の一つとして世界中の人々がこの技術開発にチャレンジしている。
12月13日に虎ノ門ヒルズで開催されたカンファレンス「iNTERFACE SHIFT 2018」では、“日本をぶち上げる”をテーマに、この国から次なる産業革命を興すべく、様々な業界の第一線で活躍しているパイオニア達がトークセッションを実施した。ここでは、「ブロックチェーン元年」と題したFinTech・ブロックチェーンのセッションの模様をお伝えする。
スピーカーは、hey代表取締役社長の佐藤裕介氏、LayerX代表取締役の福島良典氏、CryptoAgeファウンダーの大日方祐介氏の3名。HashHub共同創業者&COOの平野淳也氏がモデレーターを務め、ちまたで騒がれるブロックチェーンの嘘と本当や、各々が信じて取り組んでいること、ブロックチェーンが発展した日本の未来について議論を繰り広げた。
最初のテーマは「ちまたで騒がれているブロックチェーンの嘘と本当」。福島氏はブロックチェーンについて、「企業の方がよく持っている、ブロックチェーンを使うとコストが下がるという理解は一概には間違いないが、“信用コスト”というキーワードを頭に入れておくとブロックチェーンの本当の活用法や嘘の活用法を見分けやすくなる」と説明する。
モデレーターの平野氏に具体例を求められると、ビットコインは「誰にも止められない送金手段」であるため、不正を防ぎ銀行などが信頼管理にかけている多大なコストを削減できる可能性を示した。
続いて佐藤氏も、「現在ブロックチェーン領域に事業で取り組んでいるわけではないが、小規模な私募リート領域の資金調達において信用コストを担保する技術として注目をしている」とブロックチェーンへの期待を述べた。
先の2名から「信用コストの削減」というキーワードが挙げられたが、大日方氏は「そもそもブロックチェーンの本質は信用という概念を気にしなくて良いところで、国を越えて誰とでも資産、アセットをやりとりできることが革命的な部分」と持論を述べた。
続いてのテーマは「真実だと信じて取り組んでいる領域」について。まず、今回の登壇者の中で唯一ブロックチェーン領域に取り組んでいない佐藤氏が以下のように考えを語った。
「この領域は大きく2段階に分かれると思う。1段階目はプラットフォームそのものと周辺のデベロッパーを含むエコシステムを、プロダクトマーケットフィットさせる段階。次にユーザーサイドとのプロダクトマーケットフィットが出てくる段階。その中で、僕らの会社のケーパビリティは、そういうコアレイヤーの開発とかそのプロトコルの設計というよりは、むしろユーザーが元々いる段階でそれが社会実装される際にベットすること。そのほうが、自分たちの事業資産を活用しながら新しい技術によって高い付加価値を提供できると考えている。言わば待ち状態」(佐藤氏)。
続いて福島氏は、自身が信じていることとして「今世の中にある仕事は全てソフトウェアが置き換えるという前提で考えている。その中でブロックチェーンは信用コストを扱えるため、裁判や国際送金などがソフトウェアでできるかもしれないとワクワクしている」と期待を述べた。また、ソフトウェアが全てを飲み込む際には、ソフトウェアの技術力を持つ会社と経済圏を持つ会社が手を組む世界が来ると予想しており、そこでどのポジションをとるべきかを日頃から考えているという。
大日方氏は、ブロックチェーン領域ほどグローバル規模で横断的にコミュニティとして繋がり、同時多発的に様々な試行錯誤が起きている領域はなく、人々の生活をより自由にできるポテンシャルがあると感じているとした。
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