米上院向けにまとめられた報告書で、2016年の米大統領選挙におけるロシアの偽情報キャンペーンの規模とDonald Trump氏を大統領にするための取り組みが明らかにされているという。The Washington Postがドラフトを入手したとして、米国時間12月16日に報じた。
同紙の報道によると、この偽情報キャンペーンでは、大統領選挙の何カ月も前から政治的不和の種を米国人の間に植え付けるため、FacebookやTwitter、YouTubeなどの主要ソーシャルメディアプラットフォームが利用されたと報告書には書かれているという。米上院情報委員会向けにまとめられたこの報告書は今週中に公開される見込みとしている。
同紙によると、2018年11月の中間選挙でも引き続き干渉工作が展開されることが強く懸念されたが、同選挙はこの報告書では取り上げられていないという。
同紙によると、ロシアの偽情報キャンペーンでは、標的を絞ってメッセージを送信するために米国人を主要な利益集団に分割し、大統領候補者討論会や党大会などの政治イベントの結果を踏まえて、時間の経過と共に取り組みを変化させたと報告書に書かれているという。ロシア工作員の目的がTrump氏の大統領選勝利だったことを示す最新の証拠も提示された。
「これら全てのメッセージの狙いが共和党、特にDonald Trump氏に利益をもたらすことにあるのは明白だ。保守派や右派の投票者を対象とするキャンペーンで最も頻繁に名前が出てくるのは、Trump氏だ。キャンペーンのメッセージはこれらのグループに対し、Trump氏の大統領選挙戦を支持するよう促すものとなっていた。Trump氏の脅威になる主要なグループには、メンバーを混乱および動転させて、最終的に投票をやめさせるためのメッセージが送られた」
報告書はソーシャルメディア企業によって提供された膨大な数の投稿の分析結果を基に作成されたが、報告書の作成者らはそれらの企業の偽情報キャンペーンへの対応について「動きが遅く、協調性もない」と批判したと、同紙は報じている。作成者らは企業に対し、今後は「より有意義かつ建設的な」方法でデータを提供してほしいと促した。
報告書によると、偽情報キャンペーンが進むにつれて、Instagramが使われる頻度が特に高まったという。ロシアの工作員はInstagramで、主に人種や民族性といった個人のアイデンティティに焦点を絞った133件のアカウントを運用していたと同紙は報じた。
偽情報キャンペーンにおけるInstagramへの投稿数は、2016年には1カ月あたり約2600件だったが、2017年には6000件近くまで増加した。報告書が注目した3年間で、ロシアによるInstagramへの投稿は1億8500万件の「いいね!」と400万件のユーザーコメントを獲得した。
Twitterは16日、同社プラットフォーム上での工作に対処すべく懸命に取り組んでいると述べた。
Facebookはこの報道に関するコメントを控えた。
Googleとホワイトハウスはいずれも、コメントの依頼にすぐには応じなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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