映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」に登場したポーグが2匹、リビングルームを走り回っている。1匹は筆者の足元をばたばたと歩き回り、もう1匹は小さな本棚の後ろに隠れている。カオスな状態になってきたが、すごく楽しくもある。
「C-3PO」のホログラムが、筆者の足元にいるポーグたちに行儀よくさせるために、餌を与えて信頼を得るといいと助言してくれた。実際に餌を与えると、ポーグは大喜びしたが、その後、小さな本棚の上にあるスマートスピーカから、いきなり「スター・ウォーズ」のテーマ曲が流れてきた。その隣では、自信満々のもう1匹のポーグがペンギンのような翼を誇らしげにばたばた動かしている。どうやら、筆者はポーグの面倒を見るのがうまくないようだ。チューバッカにウーキー族の言葉で怒鳴られないといいのだが。
1匹を抱き上げようとしたが、手は虚空をつかんだ。これはジェダイのマインドトリックではなく、ILMxLabによる「Star Wars: Project Porg」という実験的取り組みである。筆者は「Magic Leap One Creator Edition」ヘッドセットを装着して、そのプロジェクトを体験している。これは2295ドル(約26万円)の開発者向けヘッドセットで、装着者の眼前の現実世界とデジタル世界を組み合わせて、複合現実(MR)と呼ばれるメディアを作り出す。
複合現実は、「Pokemon GO」をプレイするスマートフォンで使用される拡張現実(AR)に少し似ているが、装着者のまさに目の前で展開されるので、没入感がはるかに強力だ。視界から現実世界を完全に遮断するヘッドセットを装着する仮想現実(VR)とも異なる。Magic Leap Oneでは、ユーザーがレンズ越しに現実の世界を見ることが可能で、ヘッドセットのカメラとセンサが空間をマッピングして、デジタルのポーグが家具や壁のある場所に反応するようになっている。これら全ての相乗効果によって、本当に素晴らしい、幻覚のような体験が作り出される。
しばらくすると、両方のポーグがテレビの方に進んで、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を鑑賞し始めた。イメージ通りのポーグの行動だ。やがて、疲れ果てたポーグは眠りに落ちた。筆者の心と目、そして現実は、自分がたった今体験したことに圧倒された。
Project Porgは、筆者が10月の「L.E.A.P.Conference」で試す機会を得た、8種類のMR体験のうちの1つだった。これらの体験は、ゲームから人工知能(AI)アシスタントの未来を垣間見られるものまで、多岐にわたっていた。筆者は子供時代に「LEGO」ブロックで何時間も遊び、楽しい驚きを感じていたものだが、今回のいくつかのMR体験は、あらゆるテクノロジの中で、それに最も近い気持ちを感じさせてくれた。この開発者カンファレンスが終わる頃には、筆者の目は酔いしれて、何が現実で、何がデジタルの幻なのかを見分けるのに苦労していた。だが、ひとつだけはっきりしたことがある。Magic Leapとその開発者向けヘッドセットは、途方もない可能性を秘めているということだ。
筆者が試したもののうち、Magic Leapの汎用性と将来性が最も顕著に表れていた2つの体験を紹介しよう。
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