「この手のものを展開するときは、段階的に進めるのが正しい。安心感を生み、新しい乗客の助けにもなる」と、Waymoのプロダクト担当ディレクターのDaniel Chu氏は語っている。
もうひとつの、安心感につながるもっと大きい要素が、車内に配置されたディスプレイだ。クルマに見えているものが、簡略化して表示される。今のところ、不安な乗客をさらに安心させるうえで欠かせない役割を果たしている。
Waymoのインターフェースは、筆者が自動運転車で見たなかでは最もすっきりしている。ほかのクルマは青いボックスとして、歩行者は白の丸い土台の上に表示され、まるでチェスの駒のように見える。ひと目見るだけで、クルマが見ているもの全てを把握でき、実際に視界に入ってくるものが全てそのまま映し出されている。特定の何かが原因でクルマが予期しない動作をする(急ブレーキを踏んだり、交差点で必要以上に長く止まっていたりするなど)場合には、その原因となるものが点滅して強調表示される。
公道を走る自動運転車に試乗するということで、期待度は高かったが、失望することはなかったと言える。ただし、それはWaymoが完成しきっているという意味ではない。同社のアーリーライダープログラムは続いており、それを利用できる一部のユーザーは、一般に先行してサービス対象地域の拡大、車種の選択(Jaguarの「I-PACE」が加わるそうで楽しみだ)といった恩恵にあずかることができる。
そして、次には展開地域の拡大が待っている。Waymoの最高経営責任者(CEO)、John Krafcik氏に前回インタビューしたときには、次にサンフランシスコのベイエリアへサービスを拡大すると話していたが、それもフェニックスのように段階的に始まることになるだろう。
こうなると、自動運転車の開発競争が短距離走ではなくマラソンに近いことがはっきりしてくる。この競争に本当の終わりが来ることはないのかもしれない。クルマはだんだん進化して高性能になっていき、あるとき気づくと自動運転車がなかった時代など想像もできない、となるのだろう。ちょうど、今のスマートフォンをめぐる状況と同じだ。
ゴールを定められない以上、勝者を決めることはできないかもしれないが、これだけは言える。目下のところ、大きくリードしているのは間違いなくWaymoだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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