顔認識技術がホワイトハウスの周辺で使用されるかもしれない。
シークレットサービスが、米大統領官邸の内部とその周辺で用いるシステムの検証を計画していると、米国時間12月4日に米国自由人権協会(ACLU)がブログの投稿で指摘した。ACLUは、米国国土安全保障省(DHS)が11月26日に公開した文書を提示している。
この文書によると、シークレットサービスは、要注意人物がホワイトハウスに近づいてきた際の身元確認に役立つかどうかを検証したいという。この試験プログラムは、建物の外にある歩道や通り、そして警備担当者が配置されている場所の監視カメラ映像を使用する。
DHSはさらに、一般市民は「自分たちの顔がカメラに捉えられ、顔認識にかけられることを把握していない場合があり」、市民はこの検証を「拒否できない」と文書の中で述べている。この文書では、DHSはホワイトハウスでこの技術を検証し、システムが要注意人物にマッチしないと判断した人物の映像は自動的に削除されることを市民に知らせるとも述べられている。また、すべての映像データは試験プログラムの終了時に削除されるという。
DHSはコメントを控えている。ホワイトハウスにもコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
ACLUはブログの投稿で、この試験プログラムはプライバシーの問題を引き起こすと述べている。ホワイトハウス周辺の通りにいる歩行者の顔認証が行われ、シークレットサービスがそのうちの誰をどのように「関心のある人物」と判定するかが不明瞭だからだ。
「顔認識は、プライバシーの観点から考えると最も危険な生体認証の1つだ」と、ALCUの上級政策アナリストであるJay Stanley氏は述べた。「ホワイトハウス周辺の混雑した都市部で仕事をしている何千もの人々が顔を読み取られ、そのうちの誰かが監視対象の人物と誤認されてしまう可能性がある」(同氏)。
ACLUはさらに、連邦議会が米国内の市民に対して顔認識を用いる権利を一度も正式に承認していないと述べている。ACLUは、トランプ政権がすでにホワイトハウス周辺の抗議者を制限しようとしているため、今回の試験プログラムはとりわけ周辺に集まる抗議者に対するものだという見解を示している。
ACLUが顔認識技術に警鐘を鳴らしたのは今回が始めてではない。ACLUは5月、Amazonが同社の顔認識と分析を行うサービス「Amazon Rekognition」を、オーランド警察を始めとする米国の法執行機関に提供していることを明らかにした。7月には、ACLUがRekognitionを検証し、このシステムが議員28人の顔を犯罪者と誤認したことが分かった。さらに10月には、Amazonが夏頃に米移民税関捜査局(ICE)の局員と会談を行ったと報じられたことを受けて、ACLUはDHSに顔認識ソフトウェアの利用について情報を公開するよう要求した。
「ホワイトハウスの試験プログラムは、悪用と乱用につながる可能性が高い強力な監視技術を前にして、政策立案者にとって新たな警鐘となる」とStanley氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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