Corning製のガラスは、われわれが生まれる以前からさまざまな製品を保護してきた。同社は19世紀半ばに、ランプや電球用の耐熱ガラス開発で創業し、20世紀にはテレビのブラウン管にシフトし、現在はわれわれが日常的に使っているスマートフォンの画面をカバーしている。
Corningは、用途に合わせた技術の数だけガラスを進化させてきた。同社のガラスは、熱に強く、傷つきにくく、割れにくく進化してきた。そして同社は間もなく、ガラスの折り曲げの限界を押し広げることで、次世代の折りたたみ可能なディスプレイを形作ることになるだろう。われわれは、社名と同じ地名のニューヨーク州コーニングにあるCorningの本社を訪問し、強化ガラス「Gorilla Glass」のメーカーである同社が何を作っているのかを確認し、将来のデバイスについて尋ねた。
ガラスを製造するには、2つの基本要素が必要だ。砂(シリカ)と大量の熱だ。この2要素に異なる要素を追加すると、完全に異なるタイプのガラスになる。加熱温度や冷却時間を変えるだけでも、大きく異なる特性のガラスを製造できる。
これが、Corningが異なる目的のためのさまざまなタイプのガラスを製造する方法だ。例えば、われわれが使っているスマートフォンのGorilla Glassは、落下や傷に耐えるように作られている。車のフロントガラス用ガラスは、破損した際に(鋭い破片にならずに)粉々に砕けるように作られており、一方、実験に使われるビーカー用のガラスは、中に入る化学物質と相互作用しない程度に安定させる必要がある。
CorningのシニアバイスプレジデントであるJeff Evenson氏は「光学的特性、化学組成、物理的性質、電磁的特性など、ガラスについてのあらゆる次元を正確に制御する方法を研究している」と語った。
本社見学で最初に訪れたのは、Corningのイノベーションプロセスの最初の段階でもある「テストキッチン」だ。ここでは、新しいガラスの「レシピ」がテストされる。だが、このキッチンにあるのは調理用オーブンでなく、火山内部より熱い華氏1800度(摂氏982度)以上の温度にできる巨大な炉が並んでいる。
原料は「るつぼ」と呼ばれる大釜のようなコンテナに入れられ、熱を避けるための長い金属の器具を使ってピザのように炉の中に置かれる。作業者は全て銀色の防火服とマスクを着用し、われわれのような見学者は目を保護するためのレンズが暗いメガネを着用した。炉の中は、太陽の光のように明るいようだった。
Gorilla Glassは一般的なガラスより高温で調理する必要がある。るつぼをオーブンから出すと、輝きが強すぎてほとんど白く見える。るつぼの中の原料はどろりとした液体に変わっており、われわれの前に設置された金属製のテーブル上にシロップのように注がれた。液体はるつぼと同様に白くなりはじめ、冷えるに従って明るいオレンジになり、徐々に透明になっていった。冷えるに従って堅くなり、急に冷やすと砕けてしまう。透明になったら、冷却速度を調整するための特製オーブンに移す。だが、Corningは最近、別のタイプのガラスのレシピをテストしている。
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